Thermo Fisher(Dynabeads) Dynabeads anti-E.coli O157
- 研究用
Dynabeads anti-E.coli O157はアフィニティー精製した抗Escherichia coli O157ポリクローナル抗体を結合したDynabeadsです。
特に微生物などの免疫磁気分離に適した大きさ、直径2.8 μmのM-280シリーズでできています。
製品の特長
用途
Dynabeads anti-E.coli O157は前増菌した試料からE.coli O157を選択濃縮できるよう調製されており、単離、濃縮されたビーズと細菌の結合体を分離平板培地で直接培養して、検出することができます。単離した細菌はCT-SMACなどの選択培地上でコロニーを形成させ、さらに型別や鑑別法に基づく判定に用いることができます。標的細菌E.coli O157は1mL当たり100個以下の低レベルの場合でも検出可能です。
CT-SMAC培地
テCT-SMAC培地はSMAC Media Cefixime Tellurite (CT Supplement)をSorbitol MacConkey(SMAC)培地に加え調製します。SMAC培地にCefixime(セフィキシム)を最終濃度、0.05mg/L、Potassium Tellurite(亜テルル酸)を最終濃度、2.5mg/Lになる様に加えて使用します。CT-SMAC上でE.coli O157は白っぽいコロニーとして検出されます。CT-SMACはE.coli O157の分離検出に最も適した培地です。
操作概略
A. サンプルの準備
サンプルを前培養します(24時間)。
B. 精製/濃縮
手動またはBeadRetrieverで精製/濃縮します(BeadRetrieverの場合は23分間)。
C. プレーティング
Blood agarやCHROMagarにプレーティングします(18~24時間)。
D. 同定
陽性コロニーを確認するために凝集テストをします(5分以下)。
E. 確認
純度を上げるためさらにプレーティングし、PCRやELISAなどで確認することができます。
操作方法
マニュアル法 (Dynabeads E.coli O157の使用方法に同じ)
1.Dynabeads EPEC/VTECをよく懸濁し、20μLを1.5mLマイクロチューブに入れる。
2.ここに前培養したサンプル*を1mL加える。(*前処理例は下記参照)
3.ゆっくりと混ぜながら(サンプルミキサーを使用すると良い)10分間インキュベートする。
4.Dynal MPC-Sにチューブを立て、磁石を差し込んで3分間おく。
5.注意しながらピペットなどで上清を吸いとる。
6.Dynal MPC-Sから磁石をはずす。
7.洗浄バッファー(PBS-Tween)を1mL加え、フタをしてビーズを再懸濁させる。
8.Step4~7を2回くり返す。
9.このビーズ/E.coli複合体を洗浄バッファー100μLに再懸濁させる。
プレーティング:
平板培地にビーズ/E.coli複合体を、綿棒で培地の半分程度の面積に塗布し、それをループで広げます。これを35~37℃で18~24時間インキュベートします。
方法例 1
ビーズ/E.coli複合体の全量をBlood agar(WSBA Beutin et al,1989.Clin.Micro 27 :2559-2564)にプレーティングする。
方法例 2
ビーズ/E.coli複合体の半量をBlood agarにプレーティングし、もう半分を例えば次のような培地にプレーティングする。(例:CHROMagar O157、MacConkey agar、modified Haemorrhage Colitis agar、Eosin Methylene Blue、Chromocult Coliform agar )
凝集反応による同定
1. 黒い紙の上に置いたスライドガラスに生理食塩水を10μLのせる。
2. Blood agarのはじめに綿棒で塗布した部分のMixコロニーか、またはSingleコロニーをかきとってスライドにのせ、生理食塩水とよく懸濁する。
3. 凝集反応を観察する。
4. 凝集反応が起こらない場合は、抗血清(種確認済みのもの)10μLをスライドにのせ、スライドを傾けながら10~30秒間混ぜる。
5. 凝集反応が起こった場合は、1~5個のSingleコロニーをテストしてください。(30秒以内に凝集反応が起こったら陽性の可能性が高い)
6. Mixコロニーを取った場合は、結果を確認するため、上記の抗血清を使って1~5個のSingleコロニーをテストしてください。もし、Singleコロニーが取れない場合は、純度をあげるため他のプレートからBlood agarにプレーティングし、Step4、5の方法で再度確認操作をしてください。(反応は黒いバックグラウンドの上で光を当て、裸眼で観察してください。陽性は目に見える沈殿物が精製されます。陰性の場合は、凝集の反応は起こらず、均一なミルク様の液のままです。反応が遅い、弱い等は陰性と判断します。)
7. 純度を上げるために凝集の起こった陽性コロニーをさらにプレーティングし、それを生化学試験、血清学的試験、DNA試験(PCR)などで確認する。
サンプルの前処理例
食品サンプル
1. サンプルの食品25gをフィルターホモジナイザーバッグに入れる。
2. 225mLのBPW(Buffered Peptone Water)を加える。
3. 42℃で24時間インキュベートする。
4. このように前培養したサンプルをホモジナイザーでもう一度よく混ぜる。
5. 滅菌済みのピペットで2×0.5mLまたは1mLのろ過液をアッセイチューブに入れる。
ヒト糞便、牛糞便、環境からの拭き取りサンプル
糞便は採取後すみやかに冷蔵し、1~2時間以内に試験してください。もし、できない場合はStuart'sやCary Blairといった培地に移して冷蔵し、2~3日以内に試験してください。3日間以上おく場合は、必ず-70℃で冷凍してください。培地に移したものは常温には置かないでください。
ヒト液状便 :1mLをBPW10mLの中に入れる。
ヒト固形便や牛糞便 :10%の懸濁液を用意し、その1mLをBPW10mLの中に入れる。
ヒトの直腸や環境からの拭き取りサンプル:BPW10mLの中に入れる。
いずれのサンプルも42℃で24時間前培養してください。
水サンプル
1. 定法に従って、サンプル水1リットルをろ過する。
2. フィルターを先が平らなピンセットでつまみ、広口ボトルに入れBPWを90mL加える。
3. フィルターの表面から細菌がとれるようよく振り混ぜる。
4. 42℃で24時間前培養する。