ラーニングコーナー
2023/09/13
エンドトキシン試験におけるデータインテグリティの実現
- 微生物・エンドトキシン測定
データインテグリティ(Data Integrity:DI)は「データ完全性」とも呼ばれ、米国食品医薬品局(FDA)では、データが完全で一貫性があり正確であることと定義しています。
データインテグリティとは文書や記録の完全性を保つための仕組みづくりのことです。医薬品製造の世界的標準化が進展するなかで、日本の製薬業界でもデータインテグリティ(DI)に基づく管理体制を構築することが必要になります。
簡易型迅速エンドトキシン測定システムであるEndosafe nexgen-PTSにおいて、どのようにデータインテグリティを実現しているのか解説します。
ALCOA原則とは
データインテグリティ(DI)を実現するためには、FDAが提示する「ALCOA原則」に沿ったデータ管理であることが必要です。
ALCOA原則は「帰属性・判読性・同時性・原本性・正確性」の5種類の要件からなります。
データインテグリティ(DI)の実現には、ALCOA原則のそれぞれの要件に正しく適合することが求められます。
Attributable(帰属性)
帰属性とは
全てのデータ(記録)に関して「誰が・いつ」作成したのか示されていることです。
記録が帰属でき、責任の所在が明確であることが求められます。
Endosafe nexgen-PTSの対応
・ユーザーマネジメント機能を使用して、誰がシステムにアクセスしてデータを作成、管理したのかを記録することが可能です。
・アクセス権限機能によりデータへの操作をユーザーごとに制限することも可能です。
・ID、パスワードを使用したユーザー認証機能により、別人がなりすましてシステムにアクセスすることを防止します。
Legible(判読性)
判読性とは
その保存期間において記録を読んだ際に、内容を適切に判断・理解できることです。
Endosafe nexgen-PTSの対応
・記録となる試験結果のレポートや監査証跡がそれぞれ必要なタイミングで参照可能です。
・記録はリスト化され各種条件で検索可能となっており、効率的に利用できます。
Contemporaneous(同時性)
同時性とは
作業の実行と記録の作成が同時に行われていることです。
また、記録の作成日時などが正しく記載されていることも不可欠です。
Endosafe nexgen-PTSの対応
・測定が完了すると同時に測定結果が記録され、システムの操作においても監査証跡が記録されます。
・システムにおける時刻設定が可能であり、NTPサーバとの時刻の自動同期機能も有しています。
Original(原本性)
原本性とは
その記録が複製されたものでなく、最初に作成された「原本」であることを証明する概念です。
Endosafe nexgen-PTSの対応
・試験結果のレポートや監査証跡は修正不可能となっております。
・データの保管に関してアクセス権限にて制限することで不用意な削除などを防止でき、システム内部の記録をシステム外部のストレージに保管することも可能です。
Accurate(正確性)
正確性とは
記載されている記録の内容が事実に対して正確であることです。
正確性を適切に満たすためには、事前に作業フローをまとめたり、定期的な検証を行ったりすることが大切です。
Endosafe nexgen-PTSの対応
・1年に1回の温度キャリブレーションを行なうことで、システムが正常に動作していることを担保いたします。
・ご要望に応じて、設置場所におけるIQ/OQ/PQも実施いたします。