ラーニングコーナー
2020/05/15
MAINTENANCE -クラスター培養で品質を維持-
- 用途別細胞培養
はじめに
最近の研究により、培地のアシドーシスがDNA損傷のレベル、ゲノムの不安定性、およびヒトES/iPS細胞の増殖抑制と関連していることがわかってきています。
mTeSR Plusの安定化強化により、培地のpHが維持され、アシドーシスによる細胞への各種ダメージを軽減します。
継代の際に細胞を剥がす方式は、「酵素的剥離」、「非酵素的剥離」、「物理的剥離」に大別されます。
物理的剥離には分化した部分などを自分の眼で見ながら除去できるといった利点がありますが、手間がかかるといった短所も存在します。
酵素的剥離のための試薬は数多く市販されていますが、酵素で剥離したシングルセルの継代は、限られた期間だけ使用された場合でもES/iPS細胞のゲノムにとって非常に有害であり得ることが示されています(Bai Q et al. 2015)。
そのため非酵素的剥離試薬ReLeSR及び、mTeSR Plusを使用したクラスター培養を推奨いたします。
高品質なhPSCの維持培養のために
維持培養のポイント、注意すべき点は?
幹細胞(ES/iPS細胞)の培養ワークフローにおける各ステップのポイント・注意点
ES/iPS細胞の維持培養で気を付けるべき5つのポイント(細胞数、核型・遺伝子、pH、分化能、未分化)をはじめ、基底膜、継代、凍結保存の注意点を解説します。
ES/iPS細胞培養におけるシングルセル継代の課題
ヒトES/iPS細胞の継代において、シングルセル継代ではクランプ継代に比べて望ましくない選択圧がかかり遺伝的異常を獲得しやすいことが報告されています。
維持培養に役立つ製品
維持培養用培地:mTeSR Plus
緩衝作用(pH)の改善とFGF2安定化を実現した、ヒトES/iPS細胞維持用の無血清培地です。培養中の培地酸性化を抑えることで、遺伝的変異を含むhPSCへのダメージを軽減します。培地交換も週2回で問題ありません。
mTeSR Plus-日本語簡易マニュアル
ヒトES/iPS細胞の維持培養における、プレートのコーティングとクランプ継代の方法を日本語簡易マニュアルにまとめました。
mTeSR Plus‐シングルセル継代からクランプ継代への移行方法
継代用剥離試薬:ReLeSR
hPSCを細胞塊として継代(クランプ継代)するための、酵素フリーの解離試薬です。未分化細胞を選択的に剥離し、最適なサイズの細胞塊を簡単に生成できますので、手作業で選択やスクレイピングを行う必要はありません。
ReLeSR-動画マニュアル
関連情報
ES/iPS細胞らしさを維持するためには?
ヒト多能性幹細胞(hPSC、ES/iPS細胞)を用いて信頼性の高い研究を進めるためには、自己複製能と3胚葉分化能を兼ね備えたhPSCを適切に維持培養することが欠かせません。研究室でhPSCを培養するにあたって何に注意すればよいのでしょうか。 hPSC培養で獲得されうる変異とそれらを回避するためポイントなど、hPSCの品質確保に関する情報をウェブページにまとめました。