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ラーニングコーナー

2018/08/15

Laminin(ラミニン)の勉強コーナー E-learning:ES/iPS細胞、肝・膵・神経疾患など

  • 用途別細胞培養

Laminin(ラミニン)は、in vitroで細胞とマトリックスの相互作用を生体内と同じ環境(ニッチ)を再現することで、細胞の機能改善に役立ちます。Lamininはほぼすべての細胞の成長・サポートに関わります。
本稿ではLamininを用いたさまざまなアプリケーションをビデオでご紹介します。

ES細胞由来ドーパミン作動性ニューロン

GMP-compliant hESC-derived dopaminergic neurons

Dr. Agnete Kirkeby, Lund University, Lund, Sweden

Dr. Agnete Kirkebyは、臨床に向けた製造に適合する規模で、ヒト多能性幹細胞(ES/iPS細胞、hESC)を分化0日目からダイレクトに神経細胞へ分化するGMP準拠のプロトコールを紹介しています。
このアプローチでドーパミン作動性ニューロン前駆細胞(DA)を非常に高純度な集団(> 90%)で得られただけでなく、移植可能な細胞の最終収量を40倍以上も増加させることに成功しました(同数の細胞から始まる以前の胚様体プロトコールと比較した場合)。このプロトコールは、Cell Stem Cellに掲載されました。

 

06.Agnete Kirkeby from BioLamina on Vimeo.

 

mRNAのリプログラミング

Messenger RNA reprogramming-path to clinically relevant iPSCs

Dr. Luigi Warren, CEO, Cellular Reprogramming, Inc, USA

この講演では、mRNAリプログラミング発達のプロセスの最初からレビューし、いくつかのチャレンジについて述べられています。また、最新のテクノロジーに基づいてハイスループットで異種のゼノフリー、フィーダーフリーかつフットプリントフリーのiPSC derivationパイプラインの実装についてもプレゼンしています。

 

01.Luigi Warren from BioLamina on Vimeo.

 

ES細胞から肝細胞へ分化・成熟・安定化

Efficient hepatocyte specification, maturation and organization

Dr. Kate Cameron, University of Edinburgh, UK

培養基質にヒト組換えLaminin-521およびLaminin-111を用いて得られたヒトES細胞は、Matrigelで培養した細胞と比較して、肝細胞の分化、成熟、機能および表現型の安定化が大幅に改善されることを示しています。Lamininで培養した細胞は小葉のような構造を形成し、MRP1およびMRP2を発現し、胆汁流出が可能であり、シトクロムP450の代謝活性に有意な効果を示しています。GMP-ready肝細胞分化プロトコールは、Stem Cell Reportsに掲載されました。

 

05.Kate Cameron from BioLamina on Vimeo.

 

神経幹細胞と疾患モデル

Neural stem cells in health and disease

Dr. Anna Falk, Karolinska Institute, Stockholm, Sweden

Dr. Anna Falkは患者のiPS細胞に由来する神経幹細胞およびニューロンを用いて、アルツハイマー病、自閉症およびダウン症候群のような疾患の細胞モデルを忠実に模倣する方法を紹介しています。
彼女は、in vitroモデルでいくつかの新規疾患特異的な細胞表現型を発見しました。その多くは、神経前駆細胞の正常な機能に関わっています。

 

02.Anna Falk from BioLamina on Vimeo.

 

ES細胞由来 網膜色素上皮細胞

Clinically compliant hESC-derived RPE cells

Dr. Sonya Stenfelt, Karolinska Institute, Stockholm, Sweden

ヒトES細胞(hESC)を組換えヒトLaminin-521(完全にdefined・動物成分を含まない)で誘導・培養して分化した網膜色素上皮(RPE)細胞は、形態、色素沈着、マーカー発現、単層の完全性、分極および食細胞作用が体内と同じ特徴を示しました。著者らは、hESC-RPEおよび宿主網膜のin vivoイメージングを可能にする、萎縮モデル(a large-eyed geographic atrophy model)を確立しました。
hESC由来RPE細胞の臨床試験(clinical compliance)プロトコールは、Stem Cell Reportsに掲載されました。

 

 

ES/iPS細胞のゼノフリー培養

Defined and xeno-free culture of high quality hESC and iPSC

Dr. Sergey Rodin, Karolinska Institute, Stockholm, Sweden

Laminin-521はゼノフリーかつdefinedな条件で新たなヒトES細胞株の自己複製だけでなく、クローニング、誘導、さらにclonal derivationにもサポートが可能です。またLaminin-521は、α6β1インテグリンとの相互作用を介して、PI3K / Akt経路のラミニンアイソフォーム特異的活性化および迅速な細胞遊走を誘導します。
ラミニン基質で拡大培養した後、すべてのヒトESおよびヒト誘導多能性幹細胞株は、in vivoおよびin vitroアッセイにおいて遺伝的に安定であり、多能性であることが確認されました。
このゼノフリーかつdefinedなhPSC長期培養プロトコールは、Nature Communicationsに掲載されました。

 

 

膵島の効率的な維持・増殖培養

Efficient pancreatic islet maintenance and expansion

Dr. Anna Domogatskaya, Karolinska Institutet, Stockholm, Sweden

生体内と同じ環境を再現可能なラミニンは、マウス膵島のin vitro培養(増殖、表現型の維持およびグルコース依存性インスリンの分泌)を可能にします。選択された膵島特異的ラミニンで培養すると、膵島は以下のような効果を示しました。

  1. 異種細胞の組織化を伴う、扁平の接着性があるクラスターの広がり
  2. グルコース依存性インスリンの分泌による、膵島の機能的能力の維持
  3. すべての内分泌系細胞は、特異的なマーカー発現および増殖能を維持

 

 

参考文献

  • Clonal culturing of human embryonic stem cells on laminin-521/E-cadherin matrix in defined and xeno-free environment. Rodin et al. Nat Commun. 2014
  • Monolayer culturing and cloning of human pluripotent stem cells on laminin-521 based matrices under xeno-free and chemically defined conditions. Rodin et al. Nature Protocols. 2014
  • a-5 Laminin Synthesized by Human Pluripotent Stem Cells Promotes Self-Renewal. Laperle et al. Stem Cell Reports, 2015
  • Higher-Density Culture in Human Embryonic Stem Cells Results in DNA Damage and Genome Instability. Jacobs et al. Stem Cell Reports, 2016
  • Laminin 521 stabilizes the pluripotency expression pattern of human embryonic stem cells initially derived on feeder cells. Albalushi et al. Stem Cell International, 2017

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