注目の製品情報
2020/02/02
「HemaTox」 in vitro血液毒性試験のための培地とサプリメント
- 用途別細胞培養
HemaTox™ Kitは、ヒト造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)の増殖と系統特異的分化に対する薬物の効果をテストするために開発されました。
各キットは、臍帯血(CB)または骨髄(BM)から分離したCD34+細胞に由来する特定の前駆細胞系列の増殖に対する薬物の影響をテストします。
HemaTox Erythroid Kit、HemaTox Myeloid Kit、HemaTox Megakaryocyte Kitは、それぞれ、赤血球系、骨髄系、巨核球に特有の毒性をテストするように調製されています。
HemaToxが使用される理由
- 検証済み IC50 のin vitro測定で現在標準となっているCFUアッセイとの比較テスト済みです
- 再現性 系統特異的分化に最適化された無血清培地とサプリメントを用いて安定に増殖させることで、一貫した結果を取得可能です
- 柔軟性 試験化合物を添加するタイミングによりさまざまな分化段階への影響を調べられ、フローサイトメトリーにも適用できます
系統特異的な血液毒性試験のための3種のキット
毒性を確認したい前駆細胞系列に合わせて、3種のキットを用意しております。
各キットには培地 100 mL と100倍濃縮サプリメント 1 mL が含まれており、96ウェルプレート 5枚分の培養が可能です。
いずれも無血清の組成で、ヒト臍帯血(CB)または骨髄(BM)由来のCD34+細胞がスタートマテリアルとなります。
HemaTox Kitの種類と特徴
目的の前駆細胞 | 製品 | 用途 | 分析方法 |
---|---|---|---|
赤血球 | HemaTox Erythroid Kit | 赤血球前駆細胞特異的な毒性(貧血)の検証 | フローサイトメトリーのためのCD71, GlyA染色 |
骨髄系 | HemaTox Myeloid Kit | 骨髄前駆細胞特異的な毒性(好中球減少症、白血球減少症)の検証 | フローサイトメトリーのためのCD13, CD14, CD15染色 |
巨核球 | HemaTox Megakaryocyte Kit | 巨核球特異的な毒性(血小板減少症)の検証 | フローサイトメトリーのためのCD41, CD45染色 |
HemaToxアッセイの概要
ワークフロー
ヒト臍帯血または骨髄から分離したCD34+細胞を、HemaTox Kitで薬剤の添加または非添加条件下にて培養し、7日目(Erythroid, Myeloid)あるいは10日目(Megakaryocyte)にフローサイトメトリーなどで分析します。
HemaTox Kitの一般的なワークフロー
* あらかじめ濃縮したCD34+細胞を使用する際は、細胞分離のステップは不要です。
詳しい使用方法は、各製品の添付文書でご確認ください
細胞のソース
ヒト臍帯血または骨髄からCD34+細胞を分離してご利用ください。分離後の新鮮細胞をすぐにアッセイに用いない場合は、凍結保存後に利用することができます。あるいは、すでに単離済みの凍結CD34+細胞も販売しております。
詳細は下記の製品ページリンクよりご確認ください。
ヒト凍結プライマリーセル(CD34+細胞含む)
免疫磁気分離キットを用いたCD34+細胞の分離
臍帯血用
EasySep Human Cord Blood CD34 Positive Selection Kit II
骨髄MNC用
フローサイトメトリーによる分析
培養後の細胞を分析する方法の一つとして、フローサイトメトリーがあります。細胞表面マーカーに対する抗体で染色することで、各細胞集団を同定することができます。
フローサイトメトリーによる免疫表現型検査向け抗体染色パネル
製品名 | 抗体 | 商品コード | 同定される細胞集団 |
HemaTox Erythroid Kit | Anti-Human CD71 Antibody, Clone OKT9, PE | ST-60106PE | Erythroid progenitor cells/ pro-erythroblastic (CD71- GlyA+) Erythroblast (CD71+GlyA+) Normoblast / reticulocytes (CD71GlowGlyA+) |
Anti-Human CD235a / Glycophorin A (GlyA) Antibody, Clone 2B7, FITC | ST-60152FI | ||
HemaTox Myeloid Kit | Anti-Human CD13 Antibody, PECy7* | - | Myeloid Progenitor Cells (CD13+) Monocytes (CD14+) Granulocytes (CD15+) |
Anti-Human CD14 Antibody, Clone M5E2, PE | ST-60004PE | ||
Anti-Human CD15 Antibody, FITC* | - | ||
HemaTox Megakaryocyte Kit | Anti-Human CD45 Antibody, Clone HI30, PE | ST-60018PE | Megakaryocytes (CD45+ CD41+) |
Anti-Human CD41 Antibody, Clone HIP8, FITC | ST-60114FI |
*上記の表において、抗体の商品コードが表記されていない製品に関してはお問い合わせください。
HemaToxで培養した細胞の表現型分析結果
ヒトCB CD34+細胞(A)を各キットで培養し、回収した細胞をフローサイトメトリーで分析した(B-D)。
HemaTox Kitで得られたデータの例
HemaToxとCFUアッセイの間に見られる薬剤IC50値の相関
ヒトBM CD34+細胞をMethoCultによる造血コロニーアッセイ(CFU-GM)およびHemaTox Myeloid Kitで培養し、各アッセイから得られたIC50値をプロットすると高い相関が見られた(R2 = 0.91)。
HemaToxで明らかにされた薬剤の系統特異的な毒性
ヒトBM CD34+細胞でのIC50値を、HemaTox Erythroid(灰色)、Myeloid(黄土色)、Megakaryocyte(橙色)の各キットで調べた。多くの薬剤が前駆細胞系列にかかわらず似たような毒性を示したが、Sunitinibのように赤血球系列への分化に対して巨核球系列への分化の100倍以上の毒性を持つものもあった。エラーバーは平均値の標準誤差(n = 4 - 8)。
技術資料
In Vitro血液毒性試験のための培地とサプリメント(製品フライヤー)
系列特異的な血液細胞毒性スクリーニングのための新規96ウェルプレート培養アッセイ(学会発表ポスター)
注)ウェビナーの視聴には、STEMCELL Technologies社ウェブサイトにて登録が必要です。
受託試験
STEMCELL Technologies社では、HemaToxをもちいた血液毒性評価の受託試験(コントラクトアッセイ)を承っています。
弊社では受託試験の仲介をしますが、試験方法の詳細はお客様とSTEMCELL Technologies社で直接やり取りしていただきます。
参考文献
- Pessina A et al. (2003) Application of the CFU-GM assay to predict acute drug-induced neutropenia: an international blind trial to validate a prediction model for the maximum tolerated dose (MTD) of myelosuppressive xenobiotics. Toxicol Sci 75:355-367.
- Pessina A et al. (2009) Application of human CFU-Mk assay to predict potential thrombocytotoxicity of drugs. Toxicol In Vitro 23(1):194-200.