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研究者の声

2020/12/31

CAR-T療法に関わる研究でDynabeadsを使用 研究者の声【28】

  • 細胞分離

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幹細胞様メモリーT細胞(TSCM)は、その名の通りメモリーT細胞の幹細胞であり、長寿命で高い抗腫瘍活性を示します。慶應義塾大学 医学部 近藤先生は以前に「OP9-Notchシステム」によりin vitroTSCMを誘導する(iTSCM)こと[1]を報告しています。本稿では、代謝の観点からのiTSCM化メカニズムの研究についてご紹介します。

 

 [1] 参考:がん免疫療法における新たな細胞移入療法の開発にベリタス取扱製品を使用 研究者の声【10

研究者紹介

慶應義塾大学 医学部 微生物学・免疫学教室(吉村研究室)助教
米国国立衛生研究所国立がん研究所 小児腫瘍部門 ポストドクトラルフェロー

近藤 泰介 先生

※ 所属や役職等は掲載当時のものです

研究内容

当研究室では分子、細胞レベルで免疫応答を理解し、これを制御することでアレルギーや自己免疫疾患などの免疫疾患の治療法を開発することを目指しています。私はT細胞を機能的なメモリーT細胞へ変化させることによって、がん免疫療法へ応用する研究を行っております。

論文

Kondo et al., The NOTCH-FOXM1 Axis Plays a Key Role in Mitochondrial Biogenesis in the Induction of Human Stem Cell Memory-like CAR-T Cells. Cancer Res. 2020 Feb 1;80(3):471-483. PMID: 31767627

内容

幹細胞様メモリーT細胞(TSCM)はCAR-T療法において重要な役割を担っていることが報告されています。私たちの研究室では「OP9-Notchシステム」によりin vitroでTSCMを誘導できることを見出しており、iTSCMと名付けました。今回はCAR-T細胞から「OP9-Notchシステム」によりTSCM様のCAR-T細胞(以下iTSCM)へと転換させることに成功し、Notchシグナルによる代謝転換(解凍系⇒ミトコンドリアによる酸化的リン酸化)がiTSCM化に重要であることを見出しました。また、FOXM1という転写因子が上述の転換のカギであることを見出しました。

図1.CAR-T及びCAR-iTSCM生成の模式図  

研究者の声28_CAR-T及びCAR-iTSCM生成の模式図.png

図2.NOTCH-FOXM1経路の役割

研究者の声28_NOTCH-FOXM1経路の役割.png

Dynabeadsの活用事例と使用しての感想

ヒトT細胞の活性化実験においてDynabeadsは安定した実験結果を示します。またマグネットにより培養中からの除去も簡単です。

今後の展望

ステムセルメモリー様T細胞は高い抗腫瘍効果を示すT細胞サブセットとして期待されております。細胞移入療法において、T細胞移入後も患者体内で疲弊化を防ぎ、いかにTSCM様のフェノタイプを維持できるかが課題となっています。

アメリカでの研究生活に関して

COVID19により研究所は一時閉鎖されましたが、元通りとはいかないもののラボは少しずつ復帰しております。米国ではコロナウイルスワクチンの接種が始まり、なるべく早い終息を期待しています。

他のベリタス社製品では細胞分離にEasySepを使用しております。カラムを使用せず、また短時間で細胞分離が出来るため、非常に重宝しております。

ご利用いただいた製品

商品コード 商品名 梱包単位
DB11161 Dynabeads Human T-Activator CD3/CD28 0.4 mL
DB11131 Dynabeads Human T-Activator CD3/CD28 2 mL
DB11132 Dynabeads Human T-Activator CD3/CD28 10 mL
DB12321 DynaMag-2 1 個
DB12303 DynaMag-5 1 個
DB12302 DynaMag-50 1 個

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