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研究者の声

2020/01/07

ChIP-seq実験にDynabeadsを使用 研究者の声【16】

MS解析用のタンパク質複合体単離や共沈実験、さらにChIP-seqでDynabeadsをご利用いただいている東京大学大学院 理学系研究科 塩見研究室の山中 総一郎 先生に感想をいただきました。
実際にご実験いただいているChIP-seqのプロトコルもご紹介いたします。

※ 所属や役職等は掲載当時のものです

【研究室紹介】

capyamanaka.jpg

東京大学大学院 理学系研究科RNA生物学研究室では、「piRNAの生合成経路」、「PIWI-piRNAの作用機序」、そして「生殖細胞のクロマチン制御」という2つのテーマを軸にして研究を行っています。

また、モデル生物としてはハエ、マウスを用いています。

トランスポゾンとその残滓は、ヒトゲノムで45%に及ぶ広大な領域を占めています。
活性化したトランスポゾンはゲノム上を転移して、稀に宿主の遺伝子を傷つけることがあります。
そのため宿主側は、トランスポゾンの発現を抑制する多様な機構を備えています。
その機構の一つとして、PIWI-piRNA経路が挙げられます。
PIWIタンパク質とそれに結合する小分子RNAであるpiRNAは生殖巣で特異的に発現しており、
トランスポゾンの発現抑制に重要な働きを持っています。
PIWIタンパク質は、細胞質でのRNA分解、および核でのヘテロクロマチン形成、という二種類の機構でトランスポゾンの発現を抑制しています。
我々の研究室では、PIWIの果たすこの二種類の遺伝子発現制御の分子機構を明らかにしようと研究しています。
さらに以上の研究と並行して、生殖細胞でPIWI-piRNAの経路に依存しないクロマチン変換に関する解析も行っています。

【Dynabeadsを使った実験】

MS解析用のタンパク質複合体単離や共沈実験、さらにChIP実験に使用しています。

【Dynabeadsを選んだ目的と理由】

東京大学理学系研究科RNA生物学研究室は生化学を得意とするラボで、生体や細胞からのタンパク質精製を日常的に行っています。
以前はsepharose beadsを用いた実験を行っていましたが、使用に際しての手軽さや、高い沈降効率、低いノイズシグナル、
さらに再現性の高さなど様々なメリットを考慮した結果、最終的にDynabeadsに切り替えました。

【Dynabeadsを使用しての感想】

Dynabeadsは他社のmagnetic beadsに比べて圧倒的に多数の実績を誇っています。
新興の磁性ビーズも出てきており、我々の研究室でもそれらを試しました。
ある磁性ビーズは沈降効率がDynabeadsに比べて優れていたものの、かなりのバックグラウンドノイズが見られました。
ビーズの洗浄条件を検討するなども考えましたが、最終的には免疫沈降実験をする際にDynabeadsを用いることで落ち着いています。
ロット差などもなく、品質が非常に安定しています。
抗体との相性など、ケース・バイ・ケースの最適化は必要ですが最初の実験を行うときはDynabeadsを用いています。

【実際に行っているDynabeads Protein Gを利用したChIP-seqのプロトコル】

1. 細胞の固定
↓FACSで生殖細胞を10000細胞分取する (in low-binding tube)
↓remove supernatant↓suspend with 1ml DMEM (10% FBS)
↓add 67µl, 16% Formaldehyde (Pierce) (final 1%)
↓RT, 10min, rotation↓add 62.5µl 2M glycine (final 125mM)
↓RT, 5min, rotation↓centrifuge, 6000rpm, 1min x2(1分遠心後、ペレットが平らになるようにチューブの向きを変え再度遠心)
↓take supernatant (~900µl)
↓centrifuge, 6000rpm, 1min
↓take supernatant completely > stock in -80℃ freezer

2. Dynabeads のブロッキング
↓take 20µl Dynabeads Protein G into two tubes per sample (one for IP and one for pre-clear)
↓wash with 800µl, 0.5% BSA in PBS, twice↓suspend with 1ml, 0.5% BSA in PBS↓4℃, rotation, 1h

製品コード 製品名 梱包単位
DB10003 Dynabeads Protein G 1 mL
DB10004 Dynabeads Protein G 5 mL
DB10009 Dynabeads Protein G 50 mL

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