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研究者の声

2017/11/22

EasySepを用いた骨髄異形成症候群の研究 CD34陽性細胞における遺伝子発現解析 研究者の声【2】

  • 細胞分離

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東京薬科大学 生命科学部 腫瘍医科学研究室原田 浩徳 教授に、ベリタスが取り扱っているSTEMCELL Technologies社の細胞分離試薬「EasySep™」を用いたご研究についてお話を伺いました。

研究者紹介

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原田 浩徳 教授

東京薬科大学 生命科学部 腫瘍医科学研究室

研究室のホームページ

※ 所属や役職等は掲載当時のものです

 

経歴

1987年島根医科大学医学部医学科卒業後、大阪赤十字病院勤務。

1990年に広島大学医学系研究科で博士号取得後、米国セントジュード小児研究病院研究員。

広島大学原爆放射線医科学研究所の助手・講師を経て順天堂大学医学部准教授。

2016年7月より東京薬科大学生命科学部教授。

 

研究トピック・概要

研究トピック

  • 骨髄異形成症候群(MDS)の発症機序の解明
  • 研究キーワード: 骨髄異形成症候群 / 遺伝子発現 / 網羅的発現解析

研究概要

血液がんである白血病、さらに第二の白血病と呼ばれている難治性の骨髄異形成症候群(MDS)の発症機序の解明を目指して研究しています。
次世代シーケンス技術の進歩によってがんのゲノムレベルでの異常が多数同定されましたが、これらの遺伝子異常は単独でがんを発症することはありません。複数の遺伝子異常が蓄積し、がんが発症すると推測されています。
その中で、我々の研究室では造血細胞の発生に不可欠な転写因子RUNX1の異常を中心とした分子発症メカニズムを検討しています。
その手法として、患者さんの臨床検体から得られる情報をもとにした臨床研究を出発点として、そこから基礎研究につなげていくというのがこの研究室の特徴です。
臨床検体(ベッドサイド)から得られる膨大なデータを解析し、基礎研究(ベンチ)を行い、得られた結果を臨床に役立てる橋渡し研究が医学研究において現在最も求められている研究手法です。

インタビュー

EasySepを使うことでどんなメリットがありましたか?

ヒト正常骨髄中の1%程度のごく少数のCD34陽性細胞を高い純度で回収できました。骨髄中の少数のCD34陽性細胞における発現解析が可能となったことで、全骨髄細胞による発現解析では違いがみられなかった遺伝子発現の違いを明瞭に検出できるようになりました。

EasySepを選ばれた目的と理由を教えてください。

ヒトMDS患者の骨髄中有核細胞1~2×107個から短時間で効率的にCD34陽性細胞を分取するためにカラムを用いないEasySepによる免疫磁気法を使用しています。
一回に多数のサンプル処理の必要はないためEasySep Magnetを日々使っていますが、簡便な操作で常に高い回収率が得られています。
他の手法と比べて、操作性・価格・信頼性において優れています。

貴研究室でEasySepが関わる実験の概要を教えてください。

血液がんの一つである骨髄異形成症候群(MDS)は第二の白血病と呼ばれている難治性の血液疾患です。
60歳以上の造血器腫瘍(血液がん)の中で最も高頻度で、高齢化社会のわが国においてその発症の増加が問題となっています。
MDSは、造血幹細胞レベルでのゲノム異常によって汎血球減少を呈し、さらに白血病に移行します。ゲノム解析の結果から、若年者にみられる白血病とは異なることがわかってきました。
MDSを主とした造血器腫瘍患者の臨床検体を用いたゲノム異常・遺伝子発現を次世代シークエンス技術で網羅的に解析し、得られた結果をヒト・マウス造血幹細胞やモデルマウスを使って検証するという手法により、その発症機序解明と新たな治療薬の開発を目指した研究を行っています。
ヒトMDS患者の骨髄では、20%以下の異常に増殖した骨髄芽球細胞と異常な分化段階の細胞が混在しています。
MDS患者の全骨髄細胞からRNAを抽出し、1%程度の骨髄芽球細胞しかない正常ヒト骨髄との遺伝子発現を比較しようとしても、分化した細胞の影響のため解析が困難です。
そのため、骨髄芽球細胞マーカーであるCD34陽性細胞における遺伝子発現解析が必要となります。
我々の研究室では、すべてのMDS患者において、CD34陽性細胞における網羅的遺伝子発現解析を行っています。

実験結果

正常(N)骨髄CD34陽性細胞およびMDS患者(D)骨髄CD34陽性細胞をそれぞれEasySepで精製し、網羅的な遺伝子発現パターンを解析した。
PCA(principal component analysis)および DEG(differential expression gene)analysisを示す。
両方の解析において、正常とMDSの骨髄芽球細胞分画では遺伝子発現パターンに大きな違いがあることが明らかとなった。

PCA(principal component analysis)

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DEG(differential expression gene)analysis

1013_EasySep_MDS_Fig2.jpg

プロトコール

  1. 正常ヒト骨髄液またはヒトMDS患者の骨髄液を単核球分離液で単核球を分離
  2. EasySep Human Whole Blood/Buffy Coat CD34 Positive Selection Kit(製品コード:ST-18086)とEasySep Magnetを用いてCD34陽性細胞を回収
  3. 得られたCD34陽性細胞からRNAを抽出し、RNAシーケンシング、DNAマイクロアレイ、qRT-PCR解析

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