研究者の声
2020/07/17
VERI+ Community 「免疫沈降」
- 移植・HLA・MHC
弊社の「免疫沈降」関連商品をご利用いただいたポスター発表をご紹介します。
-1- Involvement of HSP90 and the Co-chaperones on Plant PISC Assembly
- 井木 太一郎
大阪大学大学院 生命機能研究科 時空生物学講座 生殖生物学研究室 - 第13回日本RNA学会年会(16th Annual Meeting of the RNA Society) (2011年)
Abstract
RNA-induced silencing complex (RISC)は、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)を担うエフェクター複合体である。
RISCはターゲットRNAを認識するsmall RNAに結合するARGONAUTE ファミリータンパク質(AGO)を含み、PTGSにおいて中心的役割を担っているものの、その分子メカニズムについては明らかにされていない。
この分子メカニズムについて解明するため我々は、HSP90-AGO1複合体に会合するコンポネント分子を同定した。
さらに、筆者らが開発した脱液胞化タバコプロトプラスト抽出液(BYL)を用いた無細胞系における植物RISC形成システムを用いて、二本鎖small RNAとAGO1との結合にはHSP90が必要であることを明らかにした。
また、HSP90制御性植物RISC複合体の解析から、シクロフィリン40 (CYP40)がHSP90・AGO1・small RNAからなる複合体に会合し、同複合体の形成に重要な役割を担っていることを明らかにした。
本研究において用いたDynabeadsは、常に安定した免疫沈降の効率を与えてくれる信頼できる製品だと思います。今後の研究でも使用したいと思います。
-2- The novel factor that process meiotic recombination intermediates
- 石黒啓一郎、竹本一政
熊本大学 発生医学研究所 染色体制御分野 - 第42回日本分子生物学会(2019年)
Abstract
減数分裂は、精子や卵子をつくるための特別な分裂様式ですが、その開始のメカニズムのほとんどが未解明です。
以前、私たちは減数分裂のスイッチを入れる遺伝子を発見し、「MEIOSIN」と名付けました(Ishiguro et al., Dev. Cell, 2020)。
石黒先生 ベリタス「研究者の声」
今回の報告では、MEIOSINによって活性化される新規遺伝子「C19ORF57」の機能解析を行いました。その結果、C19ORF57はDNA損傷修復因子BRCA2/RAD51を制御し、減数分裂の重要なイベントである「相同組み換え」を促進することが明らかになりました。MEIOSINが活性化する機能未知の因子はまだまだたくさん残されています。これらの因子の解析を進め、減数分裂の開始機構を解き明かしたいと考えています。
本研究では、抗C19ORF57抗体(ラットポリクローナル)をプロテインA-Dynabeadsに結合させました。このビーズを用いてマウス精巣抽出液からの免疫沈降を行い、結合タンパク質を質量分析によって同定しました。その結果、DNA損傷修復因子BRCA2がC19ORF57の重要な相互作用因子であることが判明し、その後の研究の流れが定まりました。
ラットIgGの定常領域はプロテインAに対する親和性の低いものも知られており、ビーズへの結合効率には不安な面がありました。実際、今回の実験で調整した抗体ビーズは、100 μLのプロテインA-Dynabeadsに3.75 μgラットIgG抗体が結合したもので、ラビットIgGに比べるとかなり結合効率が悪かったのですが、IP実験を問題無く行うことができました。
免疫沈降における非特異吸着が少ないというDynabeadsの特長が活きたと考えています。