STEMCELL Technologies STEMdiff STEMdiff Neural Crest Differentiation Kit
- 研究用
STEMdiff™ Neural Crest Differentiation Kit(ST-08610)は、ヒト胚性幹(ES)細胞および人工多能性幹(iPS)細胞を神経堤細胞(神経冠細胞、Neural crest cell;NCC)に分化させる無血清培地です。
SOX10やCD271などのマーカーで特徴づけられるこれらの神経堤細胞は、軟骨細胞、骨芽細胞、末梢ニューロンを含む下流の派生物に分化させることができます。
本品は、mTeSR™1(ST-85850)、mTeSR™ Plus(ST-100-0276)またはTeSR™-E8™(ST-05990)のいずれかで維持されたヒト多能性幹細胞(hPSC)からの分化に適しています。
製品の特長
STEMdiff Neural Crest Differentiation Kitで、ヒト多能性幹細胞(hPSC)から神経堤細胞を樹立できます
- 迅速 ― 簡便な単層プロトコルにより、わずか6日間で神経堤細胞(NCC)を作製します
- 効率的 ― 純度70%以上の多能性NCCを獲得します(※)
- 多能性 ― 末梢ニューロンなどに分化可能なNCCを産生します
- 汎用性 ― mTeSR™1、mTeSR™ Plus、またはTeSR™-E8™で維持されたヒト多能性幹細胞(hPSC)に適合します
※ SOX10+神経堤細胞が70%以上(同時にCD271+, TFAP2+, HNK1(CD57)+, FOXD3+)、かつPAX6+ 神経外胚葉性細胞が20%未満
分化誘導ワークフロー
ヒト多能性幹細胞(hPSC)をSTEMdiff™ Neural Crest Differentiation Kitで6日間培養して、神経堤細胞(NCC)を作製します。
続くNCCの継代方法については、お問い合わせください。
作製したNCCは、「STEMdiff™ Sensory Neuron」で感覚ニューロンへと分化・成熟できます:
痛みの研究に有用なヒト感覚ニューロンの作製
データ紹介
中枢神経系(CNS)タイプの前駆細胞を最小限に抑え、高純度の神経堤細胞集団を産生
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STEMdiff™ Neural Crest Differentiation Kitで培養開始から6日後、神経堤細胞(SOX10+, 赤; CD271+, 水色)の数はCNS型前駆細胞(PAX6+, 緑)を上回りました。
(A)培養6日目に継代し、2日後に固定した細胞の免疫蛍光チャネル重ね合わせ画像。個々のチャネルは、(B)DAPI、(C)PAX6、(D)SOX10、(E)CD271です。
複数のESおよびiPS細胞株から、高純度(>70% SOX10+)の神経堤細胞に分化
(A) STEMdiff™ Neural Crest Differentiation Kitで培養開始から6日目の、NCC形態を示す代表的な明視野および免疫細胞化学画像。NCC培養物はフェーズダーク形態を示し、神経堤マーカー SOX10およびCD271に陽性です。PAX6+ 神経外胚葉細胞はほとんど含まれません。
(B) SOX10+ およびPAX6+ 細胞の割合の定量化。mTeSR™1またはTeSR™-E8™で維持されたヒトESおよびiPS細胞株はSOX10+ NCCへ効率よく転換し(85.5±1.6%; 平均±SEM; n = 9)、PAX6+ 神経外胚葉細胞はごく低レベル(5.6±0.7%; 平均±SEM; n = 9)でした。数値は、タイル化画像のDAPI全体に対する陽性率です。ドットは、個々の実験結果を示します。
hPSC由来の神経堤細胞は、軟骨細胞、骨芽細胞、および末梢神経細胞へ分化可能
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(A)細胞周囲の軟骨の沈着を示すアルシアンブルー/核ファストレッドで染色された軟骨細胞ペレット。hPSC 計4株がこの系統に正常に分化しました(STiPS-M001株を掲載:X10)。
(B)アルカリホスファターゼ陽性ミネラル沈着を示す骨芽細胞。hPSC 計4株がこの系統に正常に分化しました(STiPS-M001株を掲載:X4)。
(C)12日間分化した後の末梢ニューロンでは、細胞体および軸索に沿ってペリフェリン(緑色)が高発現しました(X10)。これらの細胞の一部は、核(青)でBRN3a(赤)も発現しました。hPSC 計6株がこの系統に正常に分化しました(STiPS-M001株を掲載)。