ラーニングコーナー
2021/05/07
【ADME-Tox製品】肝細胞の取り扱いの注意点
- 細胞・生体試料
凍結保存されたプライマリー肝細胞を使用した実験の成功には、正しい肝細胞の取り扱い手順に従う事が重要です。以下は、肝細胞の取り扱いにおけるいくつかの重要な注意点です。BioIVT社は最適化および標準化された方法により、業界で最高品質の肝細胞を提供しております。ラボで最高の結果を達成するために、ADME-Toxの研究に役立つヒントとなりますのでご実験の前に必ずご確認ください。
肝細胞の選択
ご自身のアプリケーションに合わせて適切な商品を選択ください。
- アッセイに必要なのは浮遊肝細胞か付着可能肝細胞のどちらなのか
- お客様のニーズを満たすために、最大200人のドナーからなるLIVERPOOL®付着可能もしくは浮遊ヒト肝細胞のロットもあります
- BioIVTでは豊富なヒト肝細胞の在庫をご用意しております。ドナーの情報、遺伝子型、病理学、HLA、トランスポーター機能、CYP450 fold induction valuesなど事前に確認し選定ができます。
適切な肝臓モデルの選択には「肝臓モデル選択ガイド」を参照ください。
お客様のアプリケーションにどの商品が最も適しているのか、弊社がサポートします。
お気軽にお問い合わせください。
肝細胞の保存
凍結保存された肝細胞の特性を維持するためには、肝細胞を適切に保管することが重要です。
- 細胞は、配送の際のクライオシッパーから温度制御された極低温の冷凍庫に移さなければなりません。
- 細胞は-150℃以下の液体窒素の気相に保存します。細胞を液体窒素中に保存するとバイアル中に液体窒素が入り込み解凍時に危険を引き起こす可能性があります。
- バイアルをドライアイスで輸送する必要がある場合は30分以下に抑えるようにしてください。この時間は可能な限り短くしてください。
肝細胞の解凍
凍結保存された肝細胞のバイアルを解凍するときの目標は、氷のペレットが残っているがバイアルの壁から緩んでいる状態で、コニカルチューブにデカントできるレベルまで解凍することです。
解凍し過ぎないことで細胞のバイアビリティを良好に保つ事ができます。
BioIVTの凍結した付着可能な肝細胞は、高い生存率を達成するためにパーコール精製または洗浄ステップを必要としない事が特長です。これは、時間とお金を節約しているだけでなく、BioIVTの細胞が高品質である事を示しています。
- INVITROGRO™肝細胞培地は、細胞を取り扱う前に37℃に温めておく必要があります。
- 凍結肝細胞を少量のINVITROGRO™肝細胞培地で直接解凍することにより、洗浄またはパーコール精製ステップの必要性を排除します。~1mLを解凍するバイアル100万個の細胞毎に使用する事を推奨いたします。
- ストレージユニットから取り外したらすぐに細胞を解凍します。
- 細胞がバイアルの壁から離れ、小さな氷のペレットがまだ残っている状態で、事前に温められた培地に内容物を注ぎ解凍プロセスを完了します。氷のペレットを溶かし切らないように注意してください。
付着可能肝細胞(Cryoplateable Hepatocytes)の解凍~播種 |
浮遊肝細胞(Cryosuspension Hepatocytes)の解凍~播種 |
肝細胞のカウント
解凍した細胞懸濁液に正確な細胞濃度があることを確認する為に、正確な細胞数の測定は重要なステップです。セルカウントのエラーは、細胞密度またはインキュベーション濃度のエラーを引き起こし、結果に影響を与える可能性があります。
・Neubauer血球計を使用したトリパンブルー計数を細胞のバイアビリティと濃度を決定するために推奨しています。
・トリパンブルーの1:5希釈を推奨しています。
・INVITROGRO™KHBを使用して、トリパンブルーを希釈できます。
(700µL KHB + 200µLトリパンブルー+ 100µL細胞懸濁液サンプル)
・正確な細胞のバイアビリティを決定するために、トリパンブルーで細胞を優しく取り扱います
・トリパンブルーに細胞を加えてから5分以内に細胞数を数える必要があります
・正方形内の4つの辺のうち2つだけを数えます
肝細胞の沈降速度は速いため、サンプリングまたは分注する前に細胞を再懸濁します。肝細胞の沈降速度が高くなります。
図は、肝細胞がどれくらい速く沈降するかの時間経過を示しています。
トリパンブルー染色による肝細胞の計数方法 |
肝細胞の調製とプレーティング(播種)
付着可能肝細胞の場合
適切なプレーティングテクニックに従う事で、細胞を均等に播種する事ができ、適切なコンフルエンシーを達成できます。
- マウス以外の全ての種で、96または384ウェルプレート以外を使用する場合、推奨のINVITROGRO肝細胞培地で細胞を70 x 106 viable cells/ mLに希釈します
- マウス肝細胞は他の種と比較して大きい為、播種密度を半分にする必要があります(例:70 x 106 viable cells/mLの代わりに0.35 x 106 viable cells/mL とする)
- 過剰もしくは不足とならないよう適切な数の細胞を播種します
- プレーティングの最後のステップとして、細胞を均等に分布させるために、プレートを南北方向にゆっくりと振ってから、東西方向に振ってください
- 播種の3〜4時間後に培地を交換して、付着しなかった細胞を除去します
*これらの播種密度は、標準的なヒト及び動物の凍結付着可能肝細胞用です。
TRANSPORTER CERTIFIED™ヒト肝細胞では、ロット毎のCoAに最適化された播種密度が記載されています。必ずCoAの記載を参照してください。
付着可能肝細胞(Cryoplateable Hepatocytes)の融解~播種 |
浮遊肝細胞の場合
浮遊肝細胞(Cryosuspension Hepatocytes)の調製 |