ラーニングコーナー
2017/09/14
ヒト単球から効率的にM1/M2aマクロファージへ分化
- 細胞分離
- 用途別細胞培養
自然免疫系に属するマクロファージ(MΦ)は、食作用および分泌した免疫調節性のサイトカインを介して感染または傷害に応答することができます。マクロファージは、「古典的活性化」M1マクロファージ と「代替活性化」M2aマクロファージ という2つのフェノタイプに分かれます。免疫調節、組織修復および腫瘍の増殖や転移などの役割を担うため、非常に注目されている細胞です。
STEMCELL Technologies社では、ヒト単球の分離からマクロファージの分化・活性化・増殖までサポートする製品を提供しています。
基本ワークフローと関連製品 概要
- 単球の分離からM1、M2aマクロファージの活性化まで最短6日で完了
- 得られたマクロファージは機能的でかつ食作用があり、TNF・IL12 / IL10を産生
単球の分離
EasySep Human Monocyte Isolation Kitによるヒト単球分離
EasySep Human Monocyte Isolation Kit(製品コード:ST-19359)は、ヒトの新鮮/結保存PBMCあるいはアフェレーシスサンプルから単球を最短12.5分でネガティブ分離するキットです。また、キット中の Platelet removal cocktailを併用することで、血小板の混入を1/10に減らすことができます。カラムを使用しないため、細胞へのダメージを最小に抑えます。
EasySep Human Monocyte Isolation Kitでネガティブ分離したヒト末梢血由来単球
※ ヒト全血から単球の分離には、EasySep Direct Human Monocyte Isolation Kit(製品コード:ST-19669)あるいはRosetteSep Human Monocyte Cell(同:ST-15028、ST-15068)もご利用になれます。
※ マクロファージへの分化を目的としたヒト単球分離には、ネガティブ分離製品を推奨しています。
マクロファージへの分化・活性化
ImmunoCult-SF Macrophage Mediumによるマクロファージの分化・活性化
ImmunoCult-SF Macrophage Medium(製品コード:ST-10961)は、スケジュールに合わせて6日または8日間のプロトコールを選択可能です。任意の活性因子(サイトカイン他)を添加して、M1またはM2aマクロファージを選択して回収することもできます。
M1/M2aマクロファージ分化への流れ
ImmunoCult-SF Macrophage Medium の特長
- 成分が明らか:無血清・血清添加不要
- 最適化:マクロファージの分化および活性化に最適化済
- 安定した結果:M1またはM2aフェノタイプのマクロファージを高収率で回収
- フレキシブル:スケジュールにあわせた8日あるいは6日のプロトコールを選択可
- 任意の活性因子を添加することで、M1またはM2aマクロファージを選択的に回収
データ紹介
ImmunoCult-SF Macrophage Mediumで高収率に活性化マクロファージを回収
ImmunoCult-SF Macrophage Mediunは、競合品に比べてM1およびM2aマクロファージの収率が高く、競合品の約2倍量の細胞が得られます。
ImmunCultで得られたM1およびM2aマクロファージ
M1/M2aマクロファージの表現型・免疫機能評価
ImmunoCult-SF Macrophage Mediumで活性化したM1マクロファージはTNFおよびIL12を分泌し、 M2aマクロファージはIL10を分泌かつ安定した食作用を示します。
下図では、ImmunoCult-SF Macrophage Mediumで培養し、IFN-γ + LPS(M1)または IL-4(M2a)を添加して活性化させたマクロファージの培養8日目の培養上清をELISAで測定しました(8日間のプロトコールで実施)。
(左)M1マクロファージ:2821±396 pg/mL TNF-α(n=24)、656±86 pg/mL IL-12p70 (n=25)。
(右)M2aマクロファージ:29±6 pg/mL IL-10(n= 21)に対し、TNF-αはほとんど分泌されません(TNF-α :below limit of detection, n=20)。
Data: mean ± SEM。
分化したM1およびM2aマクロファージの食作用
(A)大腸菌を取り込んだM1マクロファージ(紫)、M2aマクロファージ(橙)およびネガティブコントロール(黒)をフローサイトメーターで解析した結果です。
(B)M1マクロファージおよびM2aマクロファージの食作用の平均値(%)を示しています(Mean ± SEM, n=3)。