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ラーニングコーナー

2020/02/10

ヒト造血コロニーアッセイ用メチルセルロース培地「MethoCult」選択のポイント

  • 用途別細胞培養

STEMCELL Technologies社の「MethoCult™」(メソカルト)は、造血前駆細胞コロニー測定用の半固形培地です。
Colony-forming cell(CFC)もしくは colony-forming unit(CFU)アッセイの「ゴールドスタンダード」として、造血前駆細胞の検出・定量に幅広く使用されています。
MethoCultとコロニーアッセイについて詳しくは、こちら>>

本稿ではヒト細胞用「MethoCult™」についてご紹介します。

【動画のご紹介】
造血の概要、ヒト造血幹細胞および前駆細胞を同定および定量するために使用されるさまざまな機能アッセイの講義やヒト造血CFUアッセイで
コロニーを特定およびカウントするための段階的な手順の動画へのアクセスはこちら>>>
(動画の視聴にはSTEMCELL Technologies社ホームページでの登録が必要です。)

ヒト用「MethoCult」について

「MethoCult™」はTerry Fox Laboratory(カナダ)の研究者により開発された製法に従って、造血系細胞の成育が最適になるよう調製されたメチルセルロースベースの造血前駆細胞コロニーアッセイ用培地です。
メチルセルロースは培地を固まらせずに粘稠性を増大させる性質があり、寒天のような半固体状サポートシステムよりも赤血球系コロニーをより良く成長させるとともに最適な顆粒球コロニーを形成させるため、ゲル化剤として広く用いられています。
すべてのMethoCult製品は、Terry Fox Laboratory の規格に準拠した厳重な品質管理のもとに調製されており、ロット間の品質差がありません。
それぞれ目的別の製品がありますので用途に合わせてご利用いただけます。

MethoCultの操作概要

191211MethoCult01.jpg
  1. 細胞の準備
  2. MethoCultに細胞を加えボルテックス
  3. Blunt-End Needleとシリンジを用いてディッシュに分注し、37℃、5% CO2下で湿度を保って培養(7 - 14日間)
  4. コロニーの観察およびカウント(コロニーをピックアップして、染色、PCR、染色体解析などを行うことも可能)

※ 主要ステップの手順は、簡易マニュアル補足資料)、および本稿下部の動画マニュアルをご確認ください。
※ 詳しい使用方法は、テクニカルマニュアル(英語)をご確認ください。

MethoCultの使用量

  • 通常完全培地およびEPO抜き培地: Culture Dish 1枚当たりMethoCult 1 mLに細胞溶液0.1 mLを加えて使用します。
  • その他不完全培地: 添加成分を液体培地に溶解し、所定の割合で混合したものをCulture Dish 1枚当たり1 mL 使用します。

MethoCultの保存法

-20℃に保存し、凍結融解を繰り返さないでください。

ヒト用「MethoCult」アプリケーション例

  • 造血前駆細胞の増殖・分化に及ぼす内因性および外因性調節物質の影響に関する研究
  • 幹細胞移植のための造血細胞検体の評価
  • 薬剤開発のためのin vitro毒性試験
  • 遺伝子導入プロトコールの最適化と評価
  • iPS細胞における造血分化の評価

アプリケーション別の文献は、こちら

国内ユーザーの使用例

MethoCult H4435 Enrichedによる、ヒト臍帯血CD34+細胞の機能評価

ヒト用「MethoCult」アプリケーション別 培地選択

ヒトMethoCult の選択に迷った場合は、「MethoCult H4034 Optimum」を検討してください。

アプリケーション 商品名(商品コード)
BM、PB、MPB、CBを用いた一般的な造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult H4034 Optimum (ST-04034V、ST-04044V)
MethoCult H4434 Classic (ST-04434、ST-04444)
分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた一般的な造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMM が観察可能
MethoCult H4435 Enriched (ST-04435、ST-04445)
BM、PB、MPB、CBを用いた造血コロニーアッセイ
CFU-GM、CFU-G、CFU-Mが観察可能
MethoCult H4035 Optimum without EPO (ST-04035)
MethoCult H4534 Classic without EPO (ST-04534)
分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた造血コロニーアッセイ
CFU-GM、CFU-G、CFU-Mが観察可能
MethoCult H4535 Enriched without EPO (ST-04535)
CBを用いた短時間での造血コロニーアッセイ(7日間で観察可能)
Progenitorの総コロニー数の観察に最適化
MethoCult Express
BM、PB、MPB、CB、分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた無血清培地での造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult SF BIT H4436(ST-04436)
BM、PB、MPB、CB、分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた無血清培地での造血コロニーアッセイ
CFU-GM、CFU-G、CFU-Mが観察可能
MethoCult SF BIT H4536(ST-04536)
BM、PBなどを用いた条件培地による造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult H4531を用いたEPO非依存性の赤芽球前駆細胞アッセイの陽性コントロールとしても使用可能
MethoCult H4431(ST-04431)
CSFの代わりに条件培地を用いた造血コロニーアッセイにおける、EPO非依存性の赤芽球前駆細胞の観察 MethoCult H4531(ST-04531)
ヒト LTC-ICアッセイ MethoCult H4435 Enriched(ST-04435)
ヒトES/iPS細胞から分化させた細胞を用いた、無血清培地での造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult SF H4636(ST-04636)
サル 造血コロニーアッセイ MethoCult H4435 Enriched
MethoCult H4034 Optimum
MethoCult H4434 Classic
MethoCult H4535 Enriched without EPO
MethoCult H4035 Optimum without EPO
MethoCult H4534 Classic without EPO
ユーザー自身で成長因子などを添加・調製可能
血清含有培地、EPO含有培地、無血清培地
MethoCult H4230(ST-04230)
MethoCult H4330(ST-04330)
MethoCult SF BIT H4236(ST-04236)
MethoCultのベースとなる培地
ユーザー自身で成分を添加・調製可能
MethoCult H4100(ST-04100)

略語説明

  • BM:Bone Marrow、骨髄
  • PB:Peripheral Blood、末梢血
  • MPB:Mobilized Peripheral Blood、動員末梢血
  • CB:Cord Blood、臍帯血
  • CFU-E: Colony-Forming Unit - Erythroid
  • BFU-E: Burst-Forming Unit - Erythroid
  • CFU-GM: Colony-Forming Unit - Granulocyte/Macrophage
  • CFU-G:Colony-Forming Unit - Granulocyte
  • CFU-M:Colony-Forming Unit - Macrophage
  • CFU-GEMM:Colony-Forming Unit - Granulocyte, Erythrocyte, Macrophage, Megakaryocyte

ヒト用「MethoCult」成分別 培地選択

各成分の濃度は非開示となっております。ご了承ください。

methocult_hu_list.jpg

MC=Methylcellulose; 2-ME=Mercaptoethanol; Agar-LCM=Agar-Leukocyte Conditioned Medium

ヒト用「MethoCult」 データ例

MethoCult H4034 Optimumで培養して形成されたCFU-GM(上段・中段)、およびBFU-E(下段)由来のコロニー。

191220MethoCult04.jpg
191220MethoCult05.jpg



ヒト骨髄CFU-GM、BFU-E由来のコロニーに対する阻害剤の影響。阻害剤の添加なし(左)と添加あり(右)。

191220MethoCult06.jpg

コロニーアッセイと結果に相関があり、より迅速・簡便に血液毒性を調べる方法もあります。詳細は、こちら

MethoCult 動画マニュアル

造血コロニーアッセイの手順


Procedure for Setting Up the CFU Assay

「MethoCult」の解凍方法をはじめ、培養、形成された造血幹細胞コロニーの解析までの手順を紹介しています。

Part 1: MethoCultの準備 (0:13)
Part 2: 細胞の調製 (1:31)
Part 3: 細胞とMethoCultの混和 (3:02)
Part 4: 細胞のプレーティングと培養 (3:37)
Part 5: 解析 (5:14)

半固形培地の準備とプレーティング


Preparing and Plating Semi-Solid Medium

「MethoCult」などの半固形培地を準備する手順とポイントを紹介しています。(所要1分52秒)

ヒト用「MethoCult」選択のよくある質問

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