ラーニングコーナー
2021/01/27
マウス腸オルガノイド培養における重要ポイント
- 用途別細胞培養
マウス腸オルガノイドは樹立後、IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Mouse)を用いて長期間維持することが可能です。下記では円滑なマウス腸陰窩の分離と腸オルガノイド培養のために必須の重要ポイントについて記載しています。
併せてこちら(https://www.stemcell.com/technical-resources/methods-library/cell-culture/endodermal-cells/intestinal-cell-culture/critical-steps-for-culturing-mouse-intestinal-organoids.html)もご確認ください。
一般的な作業におけるポイント
- 作業中、腸組織断片や陰窩を取り扱う際にはピペットやピペットチップを予め湿らせてください。これにより組織のピペット壁への粘着を防止することができます。
- 細胞の損傷を最小限にし、回収率を最大化するためにIntestiCult™ Organoid Growth Medium (Mouse) とGentle Cell Dissociation Reagent (GCDR)は室温に戻し、PBSとDMEM/F12は氷上で冷却したものを使用してください。
- IntestiCult™を用いた腸オルガノイド培養の概要についてはビデオをご参照ください。
マウス腸陰窩の分離
- 腸を採取する際には、小腸部分を切断する前に腸間膜(腸を腹壁に結合している膜)を除去してください。もしも最初に除去されなかった場合、小腸断片を次のステップで洗浄した際にこの腸間膜を遠心除去することが難しいためです。
- 腸を2 mm程度の断片に細断したら、15-20回PBSで洗浄し、腸断片の汚れが落ちていることを確認してください。洗浄回数が15回よりも少ない場合、断片の層の間に有害物質が残留してオルガノイドの成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 腸断片を重力によってチューブの底に落とすことが重要です。洗浄の際に遠心をおこなうと不純物もペレットとして落ちてしまい、陰窩の回収率低下を招くためです。
オルガノイド培養のための腸陰窩のプレーティング
- 陰窩を分離しプレーティングする準備ができたら、陰窩を懸濁液の状態にしておくためにプレートは予め温めておいたもの、Matrigel®は氷冷のものを使用することが重要です。陰窩がウェル表面に接して粘着すると、その陰窩は分化を開始してしまいます。
- 腸陰窩を含んだMatrigel®の液滴を形成後、IntestiCult™ Organoid Growth medium をウェルの側壁を伝わらせながら添加して下さい。培地をMatrigel®の液滴の上から直接添加すると、液体の圧力によりMatrigel®のドームが崩れてしまいます。
- Matrigel®のドームはIntestiCult™ Organoid Growth mediumで完全にコートされている必要があります。
- 陰窩のプレーティングは3つの異なる播種濃度でおこなう必要があります。オルガノイドの成長と生存に必須の因子は培地とオルガノイド自身によって供給されますが、陰窩の播種密度が高すぎると培地から正常な増殖に必要な養分が十分に得られません。また、播種密度が低すぎると、オルガノイドから産生される正常な増殖に必要な因子が十分に得られません。
腸オルガノイド培養の継代
- オルガノイドが出芽し始めると、成熟した上皮細胞が内腔の中へと折り込まれます。顕微鏡観察時に内腔部分が暗過ぎて見えにくくなる前にオルガノイドの継代をおこなうようにしてください。
- 継代の際にオルガノイドが壊れてしまう要因として2つの事が考えられます。それらは、GCDRのインキュベーション時間とピペッティングでの攪拌度合いです。GCDRでのインキュベーション時間が長すぎる、または攪拌を激しくおこない過ぎるとオルガノイドが壊れ、シングルセルが多くなってしまいます。
腸陰窩の分離、腸オルガノイドの培養、よくある質問(FAQ)についての詳細情報は、IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Mouse)を用いた腸上皮オルガノイドの形成をご参照ください。
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