注目の製品情報
2020/10/01
iPS細胞から単球へ誘導する革新的なアプローチ「STEMdiff Monocyte Kit」
- 用途別細胞培養
STEMdiff™ Monocyte Kit(商品コード:ST-05320)は、フィーダーフリーかつ無血清の培養条件下でヒト多能性幹細胞(hPSC、ヒトES/iPS細胞)から単球への分化を促進します。
本品で作製したhPSC由来の単球は、同じSTEMCELL Technologies社のImmunoCult™-SF Macrophage Medium(商品コード:ST-10961)またはImmunoCult™ Dendritic Cell Culture Kit(商品コード:ST-10985)により、マクロファージまたは樹状細胞へそれぞれ分化させることができます。
単球の機能と培養
単球は白血球の一種で、マクロファージや樹状細胞に分化する能力があります。単球とその分化細胞は、主に食作用(貪食)・抗原提示・サイトカイン産生といった機能を持ち、病原体や腫瘍に対する防御を提供する自然免疫の必須コンポーネントであると同時に適応免疫にも関与しています。
単球はヒト末梢血から分離できますが、iPS細胞由来の単球培養系を構築すれば、単球とその分化細胞のロット間差を抑えつつ大量供給できるようになります。iPS細胞由来の単球は、疾患モデリング、細胞治療アプリケーションの開発、および基礎生物学の研究への応用が期待されています。
STEMdiff™ Monocyte Kitは、ヒトiPS細胞およびES細胞から高効率に単球を分化誘導します。加えて、培養に間質細胞(フィーダー細胞)や血清を一切使用しないため再現性を確保できます。
STEMdiff Monocyteの特長
STEMdiff Monocyteの使用方法
iPS細胞から単球への分化誘導ワークフロー
図1
- 分化開始の1日前(Day -1)に、ヒト多能性幹細胞(hPSC)のコロニーを回収し、mTeSR™1、TeSR™-E8™、またはmTeSR™ Plus培地で小さな凝集体(直径100〜200 μm)として10〜20個/cm2の密度で播種します。
- Stage 1: 分化開始時(Day 0)、培地をMedium A(STEMdiff™ Hematopoietic Basal Medium + Supplement A)に交換し、中胚葉への分化を方向付けます。
- Stage 2: 分化開始から3日目(Day 3)に、培地をMedium B(STEMdiff™ Hematopoietic Basal Medium + Supplement B)に交換し、造血系への分化を方向付けます。
- Stage 3: 分化開始から7日目(Day 7)から、培地を単球分化培地(StemSpan™ SFEM II + STEMdiff™ Monocyte Differentiation Supplement)に交換し、CD14+単球の産生を促します。14日目以降の浮遊液からCD14+細胞が検出され、その頻度は17〜23日目まで徐々に増加します。培地交換時に、培養上清からCD14+細胞を直接回収できます。
STEMdiff Monocyteのデータ
最大60-80%の細胞がCD14陽性単球へ分化
得られた単球から、貪食能のあるマクロファージへ分化
得られた単球から、樹状細胞へ分化
詳しいデータはこちら(STEMCELL Technologies社のウェブサイトにリンクします)。
Generation of Monocytes from Human Pluripotent Stem Cells Using STEMdiff™ Medium and Supplements