注目の製品情報
2025/01/24
簡単かつ再現性よくオルガノイドを作製できる培養プレート Organoid Culture Plates
- 用途別細胞培養
従来のマトリックスドームに包埋するオルガノイド培養の課題を解消!
クリアで再現性の高い結果を得られるよう設計された培養プレート「Organoid Culture Plates」を使用することで、オルガノイド培養の時間を節約し一貫性を向上できます。
概要
Organoid Culture Platesは、標準的なオルガノイド培養法であるマトリックスへの包埋培養に見られるばらつきや、不均一な増殖などの一般的な課題を軽減し、研究を効率化します。
マトリックス層の厚さを均一にし、培地によるメニスカスの影響を減らすことで一貫性を高めます。
より簡単・迅速な播種と、より鮮明なイメージングを可能にし、実験結果の信頼性を向上させます。オルガノイド培養物はより予測どおりに成長し、研究の効率化とデータの信頼性につながります。
本品の最適化されたウェル設計はエッジ効果を低減し、各ウェルを確実に使用できます。
また、マトリックスドーム形成のための事前加温も不要で時間を節約できます。マトリックスにはCorning® Matrigel® をはじめ各種が使用でき、希釈したマトリックスも適合します。
自動化とハイスループットワークフローにも適しており、薬物スクリーニングや疾患モデリングなどの大規模な研究に理想的なツールです。
オルガノイドのサイズ、形状、成長、成熟に一貫性があるため、in vivo環境により近い生理学的関連性の高いモデル構築に役立ち、複雑な疾患経路の研究、治療応答の試験、大規模なin vitroモデリングなどに最適です。
本品は、従来のドームに埋め込んで3次元培養するほとんどのオルガノイドに適用できます。
たとえば、IntestiCult™ Organoid Growth Medium (Human) および IntestiCult™ Organoid Differentiation Medium (Human) で培養したヒト腸オルガノイド、HepatiCult™ Organoid Growth Medium (Human) および HepatiCult™ Organoid Differentiation Medium (Human) で培養したヒト肝臓オルガノイドが含まれます。
Organoid Culture Platesは、24ウェル(左、ST-200-0561)または96ウェル(右、ST-200-0562)から選択できます。
Organoid Culture Platesの特長
Organoid Culture Platesで、簡単かつ再現性よくオルガノイドを作製
- オルガノイドのサイズと成長のばらつきを減らし、一貫性と再現性を向上
- マトリックスの深さを制御しデッドゾーンをなくすことで、オルガノイドの堅牢で均一な成長と成熟を確保
- 画像の解像度を高め、より鮮明で正確な顕微鏡分析を実現
- エッジ効果を低減し、プレートの事前加温を省くことで、実験効率を向上
- 大規模な研究向けのハイスループットスクリーニングと自動化に適合
従来のドーム培養(左) vs Organoid Culture Plates(右)
図1. Organoid Culture Platesで、標準的な培養プレートのドーム培養よりも優れたイメージングと使いやすさを実現
(A, B)標準的な培養プレートでマトリックスドーム培養したオルガノイドには、ドームをウェルの中央に手動で配置することによる一貫性の欠如、増殖が不十分か全く見られない「デッドゾーン」の存在、ドームの形状・高さ・位置のばらつき、希釈マトリックスでのドーム形成が不可能なこと、メニスカスによるイメージング障害、といった課題があります。
(C, D)Organoid Culture Platesの段のあるウェルの特徴は、マトリックスの深さを標準化し、メニスカスを軽減し、培養の堅牢性を向上させ、オルガノイドのより均一な成長と配置、および失敗ウェルの削減を実現します。さらに、オプションで2層目のマトリックスを利用すれば、層状培養や共培養を行えます。つまり、Organoid Culture Platesは使い勝手が良いだけでなく、より鮮明なイメージングと正確な観察を可能にし、詳細な研究と定量的および定性的なデータ収集に役立ちます。
Organoid Culture Platesで解決できる課題
Organoid Culture Platesは、オルガノイドの従来のドーム培養に一般的な以下の各課題を解消するよう設計されています。
- オルガノイドが複数の焦点面に存在するため、イメージングと定量が困難
⇒ オルガノイドを単一の焦点面に配置 - 培地のメニスカスの影や、中心からずれた配置によってオルガノイドが不明瞭になり、イメージング、定量、解析が困難
⇒ 不明瞭さの原因を排除し、オルガノイドを常に明瞭に可視化 - ドーム中心への栄養分の限定的/不均等な拡散により、培養の不均一さと細胞死、試薬の無駄が発生
⇒ マトリックス層に栄養分を均等に拡散させ、ばらつきと無駄を低減 - 複数ウェル間でドームの位置が変動するため、自動化の適用が困難
⇒ ウェル間で一貫したマトリックスフリーの領域を確保し、自動化にも対応
図2. Organoid Culture Platesで、従来法と同等の細胞増殖を維持しながらイメージングを強化
Organoid Culture Platesで培養したオルガノイドの形態と増殖を、標準的な培養プレートでのドーム培養に対して、(A, B, C)96ウェルおよび(D, E, F)24ウェルの両フォーマットで評価しました。
明視野画像は、(A, D)Organoid Culture Plateおよび(B, E)標準培養プレートで培養開始7日後のヒト腸オルガノイドに予想される嚢胞性形態を示します。
(C, F)ヒト腸オルガノイドの増殖を5継代にわたって評価しました。細胞数は、両プレート間の播種量の違いを考慮して、培養開始0日目の断片数に対して正規化しました。(C)96ウェルのOrganoid Culture Plateは、継代数2の細胞数が有意に高い以外は、標準培養プレートと同等の細胞増殖を示しました(n = 3)。** p < 0.01は、多重比較のためのSidak検定による混合効果分析で決定した有意性。(F)24ウェルのOrganoid Culture Plateは、標準培養プレートと同等の細胞増殖を示しました(n = 3)。
データ紹介
Organoid Culture Platesを使用すると、オルガノイドのサイズ変動や増殖領域を減らし、マトリックス(ECM)層の体積と形態のばらつきを抑え、培地の蒸発とウェルのエッジ効果を低減できます。その結果、変動係数(%CV)が減少し、結果の一貫性が向上します。
以下に、具体例を示しました。
図3. Organoid Culture Platesの標準化プラットフォームで、毒性スクリーニングの一貫性を強化
ヒト由来の腸オルガノイドを、96ウェルのOrganoid Culture Platesまたは標準培養プレートで2日間培養した後、さらに4日間ゲフィチニブで処理しました。培養開始から6日目に、CellTiterGlo® 3D解析で相対的な細胞生存率を評価しました。
(A)Organoid Culture Platesでのスクリーニング培養では、ゲフィチニブ処理後に標準培養プレートでのドーム培養と同様のIC50値が得られました(それぞれ0.797 μM ± 0.145 μMおよび0.667 ± 0.152 μM)。
(B)Organoid Culture Plates(OCP)で培養したオルガノイドは、標準培養プレート(SCP)でのドーム培養と比べて、ゲフィチニブ処理後のテクニカルレプリケート間の細胞生存率の変動係数(%CV)が低く、データの信頼性と堅牢性が向上しました。変動係数の減少率(%CV Reduction)は、1 - %CV OCP / %CV SCPにより算出しました。
図4. Organoid Culture Platesでウェル内/間の不均一性を低減し、オルガノイドサイズの一貫性を向上
(A)96ウェルのOrganoid Culture Platesで培養したヒト腸オルガノイドは、標準培養プレートでの培養と比べて、1ウェル内のオルガノイド断面積の範囲が狭くなっています。
(B)ウェル間比較では、Organoid Culture Platesで培養したオルガノイドは、データの広がりの縮小が示す通り、標準培養プレートよりも断面積の変動が減少しました。
(C)変動係数(%CV)を用いて、培養プレートフォーマット間でオルガノイド断面積のウェル間の一貫性と再現性を測定しました。Organoid Culture Plates(OCP)で培養した腸オルガノイドでは、サイズのウェル間変動の減少が示されました。変動係数の減少率(%CV Reduction)は、1 - %CV OCP / %CV SCPにより算出しました。