ES/iPS細胞の分化誘導ガイド(STEMCELL Technologies社)
STEMCELL Technologies社では、ヒトES/iPS細胞(ヒト多能性幹細胞、hPSC)研究に利用可能な製品を多数揃えています。
分化用培地シリーズ「STEMdiff」は、TeSRフィーダーフリー維持培地(mTeSR1、mTeSR Plus、TeSR-E8など)で培養したヒトES/iPS細胞からの分化に最適化されており、多様な細胞タイプへの分化に対応しています。
なぜiPS細胞分化にSTEMdiffが選ばれるのか
STEMdiff™は、ヒト多能性幹細胞(hPSC)をさまざまな細胞に分化するための研究用培地です。主に以下の特長をそなえています。
- 無血清、Definedな組成 = 実験間のばらつきを低減します
- 互換性 = TeSR™維持培地で培養されたhPSCに使用できます
- 再現性 = 最適化された組成とスクリーニング済みの成分により、試薬の一貫性と最小限のロット間差を確保します
- 使い易さ = 3胚葉すべてに分化するための詳細なプロトコルを提供します
- 複数の細胞株 = 複数のヒトESおよびiPS細胞株を効率的に分化できます
STEMdiff紹介:STEMdiff™ Kits for Robust and Efficient Differentiation of hPSCs to Multiple Cell Types
ISSCR 2016 Innovation Showcaseで収録されたウェビナーです。
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ニューロン・グリア細胞、神経堤細胞 【外胚葉】
脳の構造および発達は齧歯類とヒトの間で大きく異なり、これらの動物モデルでは、ヒトの神経疾患や脳発達を完全に解明できない可能性がありました。ヒト多能性幹細胞から神経細胞をはじめ様々な細胞へ分化させる研究が進んだことで、これまで困難だったin vitroでのヒト神経系のモデル化ができるようになりました。
STEMdiff SMADi Neural Induction Kit / Neural Progenitor Medium
STEMdiff SMADi Neural Induction Kit(ST-08581/08582)は、hPSCからの神経誘導用培地です。SMADシグナル阻害用のサプリメント(SMADi)を添加することで、中枢神経タイプの神経前駆細胞(NPC)の誘導効率向上が期待できます。分化誘導プロトコールは、EB(胚様体)法とモノレイヤー法どちらにも対応しています。
得られたNPCは、STEMdiff Neural Progenitor Medium(ST-05833)で継代培養して増殖させることができます。またNPCは、STEMdiff Neural Progenitor Freezing Medium(ST-05838)によって凍結保存することができます。
関連情報
STEMdiff Forebrain Neuron / Midbrain Neuron / Astrocyte Kits
STEMdiff SMADi Neural Induction Kitによって誘導された神経前駆細胞(NPC)から、機能性の前脳型ニューロン(グルタミン酸作動性およびGABA作動性ニューロン)、中脳型ニューロン(ドーパミン作動性ニューロン)、またはアストロサイトへそれぞれ分化・成熟させるための培地です。得られる分化細胞は、神経学的発達や疾患、薬物スクリーニング、毒性試験、および細胞療法の検証をモデル化するための多目的なツールとして使用できます。
製品ラインナップ
NPCから前脳型ニューロンへの分化: STEMdiff Forebrain Neuron Differentiation Kit(ST-08600)
前脳型ニューロンの成熟: STEMdiff Forebrain Neuron Maturation Kit(ST-08605)
NPCから中脳型ニューロンへの分化: STEMdiff Midbrain Neuron Differentiation Kit(発売準備中)
中脳型ニューロンの成熟: STEMdiff Midbrain Neuron Maturation Kit(発売準備中)
NPCからアストロサイト前駆体への分化: STEMdiff Astrocyte Differentiation Kit(ST-100-0013)
アストロサイトの成熟: STEMdiff Astrocyte Maturation Kit(ST-100-0016)
STEMdiff Neural Crest Differentation Kit
STEMdiff Neural Crest Differentiation Kit(ST-08610)は、hPSCから神経堤細胞(神経冠細胞、Neural crest cell、NCC)に分化させるための培地です。得られたNCCは、感覚ニューロン、シュワン細胞、腸ニューロン、頭蓋顔面ニューロン、メラノサイト、骨細胞、軟骨細胞などへさらに分化させることが可能です。感覚神経と痛みの新たな研究モデルとして、iPS由来末梢感覚ニューロンを作製する最初のステップにおすすめです。
関連情報
脳オルガノイド 【外胚葉】
hPSCから3次元的にin vitroで作製された“ミニ臓器”(オルガノイド)の研究が発展しています。最新のオルガノイド培養技術ではヒト脳の3次元構造を再現できるようになり、脳発生や高次脳機能の研究がin vitroで実現しつつあります。いまだ治療法のない難病の研究に光が当たることも期待されています。
STEMdiff Cerebral Organoid Kit
STEMdiff Cerebral Organoid Kits(ST-08570, ST-08571)は、hPSCから大脳オルガノイドへの分化、および成熟用の培地です。大脳オルガノイドとは、発達中の大脳のような細胞組成および構造を有する3次元in vitroモデルです。Dr. Madeline Lancasterが発表した組成に基づいており、さらにオルガノイドの形成効率と再現性を高めるように最適化されています。
関連情報
関連ウェビナー
Madeline Lancaster on Brain Organoids: Modeling Human Brain Development in a Dish
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STEMdiff Brain-Region Specific Organoid Kit
近日発売予定です。
関連情報
A Reliable, Efficient, and Feeder-Free Method to Generate Brain-Region-Specific Dorsal and Ventral Forebrain Organoids From Human Pluripotent Stem Cells to Model Early Human Brain Development
(CSHL 3D Brain 2019の学会発表ポスターです)
関連ウェビナー
Building Brain Organoids and Assembloids to Study Human Development and Disease
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造血前駆細胞、免疫細胞 【中胚葉】
hPSCから血球および免疫細胞に分化させることで、これらの細胞を安定的かつ大量に供給できるようになり、プライマリー細胞では難しかった創薬スクリーニングや疾患モデルへの利用に道が開かれます。STEMdiffでは完全に無血清かつフィーダーフリーで培養できるため、変動要素は限りなく低減されます。
STEMdiff Hematopoietic Kit
STEMdiff Hematopoietic Kit(ST-05310)は、hPSCからCD34、CD45、およびCD43を発現する造血前駆細胞に分化させるための培地です。得られる造血前駆細胞は、コロニー形成ユニット(CFU)アッセイで造血コロニー形成能を示します。
関連製品
hPSC由来造血前駆細胞のCFUアッセイ向け 半固形培地: MethoCult SF H4636(ST-04636)
STEMdiff T Cell / NK Cell Kits
STEMdiff T Cell Kit(ST-100-0194)、およびSTEMdiff NK Cell Kit(ST-100-0170)は、hPSCからCD34+細胞への誘導を経て、T細胞およびナチュラルキラー細胞(NK細胞)に分化させるための培地です。胚葉体形成をともなう3次元培養を経ることで、CD34+細胞への誘導効率が向上しました。ロット間差を抑えた大量の分化細胞を得るだけでなく、遺伝子編集したhPSCを分化させて有用な研究ツールとして利用することもできます。
関連情報
STEMdiff Monocyte Kit
STEMdiff Monocyte Kit(ST-05320)は、hPSCから単球に分化させるための培地です。単球は培養上清中から浮遊細胞として回収できます。また、得られる単球はImmunoCultを用いてマクロファージまたは樹状細胞へさらに分化させることができます。
関連情報
STEMdiff Microglia Kits
STEMdiff Microglia Differentiation Kit (ST-100-0019)、およびSTEMdiff Microglia Maturation Kit (ST-100-0020)は、STEMdiff Hematopoietic Kit(ST-05310)で分化させた造血前駆細胞からミクログリアへ分化、および成熟させるための培地です。Mathew Blurton-Jones研究室のプロトコル(Abud, et al., 2017)に基づいて開発されました。得られるミクログリアは貪食作用を示し、神経炎症モデルや、神経オルガノイドとの共培養アプリケーションに使用できます。
関連ウェビナー
Advanced Brain Organoid Co-Culture Systems
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心筋細胞、血管内皮細胞、初期中胚葉 【中胚葉】
hPSC由来の心筋細胞や血管内皮細胞によって、ヒトの心臓と血管を研究するためのin vitroモデルを構築できます。不整脈などの心疾患の研究では、疾患iPS細胞由来の心筋細胞をもちいた機能解析やスクリーニングが可能です。
hPSC由来の初期中胚葉は多分化能を持ち、さらに内皮、骨、軟骨、脂肪などの中胚葉系細胞に分化させることが可能です。
STEMdiff Cardiomyocyte Kits
STEMdiff Cardiomyocyte Kitsは、hPSCから心筋細胞への分化、および維持、保存のための培地です。hPSCから安定的に高純度な心筋トロポニンT(cTnT)陽性細胞を形成し、長期培養することができます。得られる心筋細胞は、創薬スクリーニングや心毒性アッセイなどの用途に使用できます。
製品ラインナップ
hPSCから心筋細胞への分化: STEMdiff Cardiomyocyte Differentiation Kit(ST-05010)
hPSC由来心筋細胞の維持培養: STEMdiff Cardiomyocyte Maintenance Kit(ST-05020)
hPSC由来心筋細胞のシングルセル化: STEMdiff Cardiomyocyte Dissociation Kit(ST-05025)
hPSC由来心筋細胞の凍結保存: STEMdiff Cardiomyocyte Freezing Medium(ST-05030)
凍結保存したhPSC由来心筋細胞の融解・回収: STEMdiff Cardiomyocyte Support Medium(ST-05027)
関連情報
STEMdiff Endothelial Kits
STEMdiff™ Endothelial Differentiation Kit(ST-08005)、およびSTEMdiff™ Endothelial Expansion Kit(ST-08007)は、hPSCからSTEMdiff Mesoderm Induction Medium(ST-05220)で誘導した初期中胚葉細胞を、高効率で内皮様細胞へ分化、および増殖するための培地です。
関連ウェビナー
Therapeutic Application of Endothelial Colony-Forming Cells for Retinal Diseases
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STEMdiff Mesoderm Induction Medium
STEMdiff Mesoderm Induction Medium(ST-05220, 05221)は、hPSCから初期中胚葉への分化のための培地です。得られる初期中胚葉細胞はさらに、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、内皮細胞などに分化させることができます。
腎オルガノイド、間葉系前駆細胞 【中胚葉】
hPSC由来の腎オルガノイドは、ヒト腎臓のネフロンとそれに付随する間葉と内皮の構造をin vitroで再現できる3次元培養系です。創薬で非常に重要な腎毒性の分野ではin vitroのモデル系が限られていましたが、腎オルガノイドがその役割を担うことが期待されています。
hPSC由来の間葉系前駆細胞は、長期に増殖能と多分化能を維持できるため、間葉系幹細胞をもちいた治療法の研究や分化用細胞の大量培養に使用できます。
STEMdiff Kidney Organoid Kit
STEMdiff Kidney Organoid Kit(ST-05160)は、hPSCから腎臓オルガノイドを高効率に生成するための培地です。得られる腎臓オルガノイドは、発達中のネフロンと付随する内皮および間葉で構成されており、腎毒性化合物スクリーニングや、腎臓の発生と疾患のモデルとして使用できます。
関連情報
関連ウェビナー
Applications of Organoid and Organotypic Cultures in Infectious Diseases, Nephrotoxicity, and Highly Relevant Cell-Based Assay
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STEMdiff Mesenchymal Progenitor Kit
STEMdiff Mesenchymal Progenitor kit(ST-05240)は、hPSCから間葉系前駆細胞(MPC)様特性を有する細胞を誘導するための、動物性成分フリー(ACF)の培地です。得られる細胞は、長期培養および脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞へのさらなる分化が可能です。
関連情報
肺前駆細胞、膵前駆細胞 【内胚葉】
hPSC由来の肺前駆細胞および膵前駆細胞はさらに分化、成熟させることができ、それぞれ呼吸器および膵臓の疾患をin vitroで研究するモデル系のために使用できます。
STEMdiff Lung Progenitor Kit
STEMdiff Lung Progenitor Kit(発売準備中)は、hPSCから胚体内胚葉、前方前腸内胚葉を経て、肺前駆細胞に分化させるための培地です。得られる細胞は、さらに近位または遠位気道細胞に成熟させることが可能で、肺の疾患や発生の研究に使用できます。
関連ウェビナー
Making Lung Cells from Pluripotent Stem Cells: Disease Modeling and Future Therapies
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STEMdiff Pancreatic Progenitor Kit
STEMdiff Pancreatic Progenitor Kit(ST-05120)は、hPSCから胚体内胚葉、原始腸管、後方前腸内胚葉を経て、膵前駆細胞に分化させるための培地です。得られる細胞は、さらにインスリン産生β細胞や膵内分泌および膵外分泌細胞に成熟させることが可能です。
関連ウェビナー
Understanding Pancreatic Development and Diabetes Using Patient-Specific iPS Cells
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腸管オルガノイド、胚体内胚葉 【内胚葉】
hPSC由来の腸管オルガノイドは、ヒト腸管上皮の構造と機能をin vitroで再現できる3次元培養系です。腸の発生と細胞生物学、炎症、再生、微生物相互作用、疾患モデル化、創薬、および化合物スクリーニングを研究するためのモデルとして使用できます。
hPSC由来の胚体内胚葉細胞は、肝、膵、肺、小腸を含む内胚葉系の多様な細胞に分化させることが可能です。
STEMdiff Intestinal Organoid kit
STEMdiff Intestinal Organoid Kit(ST-05140, ST-05145)は、hPSCから小腸オルガノイドを高効率に生成するための培地です。Spence et al.(Nature, 2011)の報告に基づいて開発され、複数のhPSC株にわたってオルガノイド形成効率や再現性を高めるよう組成が最適化されています。得られる腸管オルガノイドは、発達中の小腸腸管上皮と付随する間葉系から構成されており、長期継代培養による維持および凍結保存が可能です。
関連情報
STEMdiff Definitive Endoderm Kits
STEMdiff Definitive Endoderm Kits(ST-05110, ST-05115)は、hPSCから多分化能をもつ胚体内胚葉へと分化させるための培地です。得られる胚体内胚葉細胞は、さらに肝前駆細胞、膵前駆細胞を含む多くの内胚葉系細胞に分化させることができ、薬剤開発や毒性試験の研究用途に使用可能です。
製品ラインナップ
mTeSR1で維持培養されたhPSC向け: STEMdiff Definitive Endoderm Differentation Kit(ST-05110)
TeSR-E8で維持培養されたhPSC向け: STEMdiff Definitive Endoderm kit (TeSR-E8 Optimized)(ST-05115)
汎用、カスタマイズ向け 【外・中・内胚葉】
hPSCからの分化に最適な、成分が明確な基礎培地です。任意の誘導因子またはサイトカインを添加いただくことにより、外胚葉・中胚葉・内胚葉系列のさまざまな細胞に分化させることが可能です。
STEMdiff APEL2 / APEL2-LI Medium
STEMdiff APEL2 Medium(ST-05270, 05275)は、hPSCからすべての胚葉への分化をサポートする多用途の動物性成分フリー培地です。
培地組成は、Dr. Andrew Elefantyらの論文(Ng et al., 2008)に基づいています。
STEMdiff APEL2-LI Medium(ST-05271)はインスリン含有量が低く、心筋細胞のようにインスリンによって阻害される系列への分化に有用です。
関連情報
関連ウェビナー
Animal Component-Free hPSC Differentiation to Multiple Lineages
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TeSR-E6 / E5
TeSR-E6(ST-05946)は、hPSC維持培養のための低タンパク培地 TeSR-E8(ST-05990)からTGF-βとbFGFを除いた組成です。
TeSR-E5(ST-05916)は、E6からさらにインスリンを除いた組成です。
いずれもゼノフリー(ヒト以外の動物由来成分を含まない)の培地です。
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