STEMCELL Technologies STEMdiff STEMdiff NK Cell Kit
- 研究用
ナチュラルキラー(NK)細胞は、病原体と腫瘍に対する防御を担うリンパ球です。NK細胞は炎症性サイトカインの分泌と癌性細胞またはウイルス感染細胞を殺す能力により、自然免疫において重要な役割を果たします。これまで、NK細胞はプライマリーの細胞から分離されたものが多く使用されてきました。この一つの理由は、iPS細胞から分化誘導する際にCD34陽性造血前駆細胞の誘導効率が低く、安定的にNK細胞まで誘導できなかったことがあります。この課題を克服するためSTEMCELL Technologies社では、シングルセルによる誘導ではなく均一な胚様体(EB; Embryoid Body)を形成させること、また得意分野の細胞分離技術を取り入れることで高効率の誘導に成功しました。ヒト多能性幹細胞(iPS細胞)からの培養系では免疫細胞を大量に供給することが可能となり、プライマリーの細胞と比べて個体間差も抑えることができます。
STEMdiff™ NK Cell Kit(ST-100-0170)には、フィーダーフリー条件下でヒト多能性幹細胞からCD56発現NK細胞へと分化させるための、無血清培地とサプリメントが含まれています。STEMdiff™ Hematopoietic - EB 試薬類は動物性成分フリーの組成で、リンパ系分化能のために最適化されています。これらによって始めにCD34陽性造血前駆細胞を作製し、続いてStemSpan™ 試薬類によってNK細胞へと分化します。本品は、分化したNK細胞をロット間差を抑えて大量に供給できるだけでなく、疾患由来iPS細胞からの再分化、薬剤スクリーニングなど幅広い分野での応用に適しています。
製品の特長
STEMdiff™ NK Cell Kitをもちいて、hPSCからNK細胞へ分化できます
- 均一性 AggreWell™を使用して均一なEBを形成することでばらつきを低減します
- 安定的 無血清、フィーダーフリーのため、血清やフィーダー細胞による変動要素を排除できます
- 高収量 iPS細胞由来のCD34+ 細胞1個あたり、約210個のNK細胞を産生します
- 簡便 間質細胞ベースの培養系では必要になる余分な継代手順を回避できます
NK細胞分化のワークフロー
1. STEMdiff™ Hematopoietic-EBによる造血前駆細胞分化プロトコル
iPS細胞を回収し、単一細胞懸濁液に解離してから、EB形成培地(EB Medium A +10 μM Y-27632)をもちいてAggreWell™プレートに播種し、600細胞の凝集体を形成します。2日目にEB Medium Aで培地の半量交換を行います。中胚葉形成後の3日目に、培地をEB Medium Bに交換して造血系統への分化を誘導します。5日目に、EBを組織培養用コーティング未処理のプレートへ移します。12日目にEBを回収して解離し、CD34+細胞をEasySep™をもちいてポジティブセレクションで濃縮します。
2. StemSpan™ によるNK細胞分化プロトコル
iPS細胞由来のCD34+細胞を、StemSpan™ Lymphoid Progenitor Expansion Mediumをもちいて、StemSpan™ Lymphoid Differentiation Coating Materialでコーティングしたプレート上に播種します。14日目にリンパ系前駆細胞の段階で細胞を採取し、NK細胞へのさらなる分化のためにStemSpan™ NK Cell Differentiation Mediumをもちいて、コーティング未処理プレート上に再播種します。NK細胞は28日目に採取されます。
注:UM729は、StemSpan™ NK Cell Differentiation Mediumにのみ添加する必要があります。StemSpan™ Lymphoid Progenitor Expansion Mediumには添加しないでください。
上記プロトコルの詳細、製品データは以下よりご覧ください