注目の製品情報
2018/10/17
「mTeSR1」フィーダー細胞が不要なヒトES/iPS細胞維持用 無血清培地
- 用途別細胞培養
STEMCELL Technologies社のmTeSR™1は、フィーダーフリー・血清フリー・定義済み(Defined)組成を特徴とする、ヒトES/iPS細胞(ヒト多能性幹細胞、hPSC)の維持用培地です。
現在、mTeSR1は世界50か国以上で使用され、論文実績は1,500報を超えています。
本稿では、「ヒトES/iPS細胞 維持培地のゴールド・スタンダード」であるmTeSR1についてご紹介します。
mTeSR1とは
mTeSR™1 (エム・ティーザー・ワンと読みます)は、modified Tenneille Serum Replacer 1の略で、Wisconsin-Madison大学の研究ファンドであるWiCell™ Research Instituteで開発された信頼ある培養技術を、STEMCELL Technologies社とベクトン・ディッキンソン社のコラボレーションで製品化したものです。
mTeSR1は「Corning® Matrigel® hESC-Qualified Matrix」とコンビでご利用いただけます。
※ 注釈:mTeSR1の開発当時、Matrigelはベクトン・ディッキンソン社より販売されていました。現在、Matrigelのご購入・お問い合わせは、コーニングインターナショナル(株)様までお願いいたします。
また、マトリックスにはMatrigel以外に、ヒト組み換えタンパク質のBiolaminin 521(BioLamina社、BLA-LN521-02)、およびVitronectin XF™(ST-07180)もご利用いただけます。
フィーダー細胞を用いた培養システムの課題
フィーダー細胞を用いたヒトES/iPS細胞培養には、以下の課題があげられます。フィーダーフリーのmTeSR™1を使用することで、これらの課題を回避できます。
- フィーダー細胞を維持する技術者の負担
- MEF細胞(マウス胎仔線維芽細胞)のバッチ間差
- フローサイト解析、核酸精製、Lysate、ダウンストリーム解析等にフィーダー細胞が邪魔
- ES細胞の自発的な分化を促進する可能性
- トランスフェクション効率を低下させる可能性
mTeSR1の特長と利点
実績
世界50か国以上、1,500報以上の論文で使用実績があります
ヒトES/iPS細胞におけるCRISPR/Cas9 ゲノム編集にも使用実績あり
WiCell™により公開済みの組成
ヒトES細胞研究分野のリーダー WiCell*による信頼性の高い培地組成です
* Wisconsin-Madison大学(UWM)の研究ファンドであるWiCell™ Research Institute。幹細胞研究を専門にし、アカデミア向けの細胞提供や、The National Stem Cell Bankの運営を行っています。
フィーダーフリー
フィーダー細胞由来のばらつきを排除できるだけでなく、フィーダー細胞のメンテナンスが不要なため研究効率を大幅にアップできます
血清フリー
血清のスクリーニングにかかる時間とコストを削減できます
Definedで高品質な成分
高い品質、信頼性、再現性を保証します
品質が保証されたマトリックス
「Corning® Matrigel® hESC-Qualified Matrix」との組み合わせで、ロット間差に悩まされることなく安定した培養ができます。
また、「Biolaminin 521」との組み合わせでは、Definedな条件下でROCK inhibitorを添加せずに単層培養できます。
成分の追加は不要
他の増殖因子を添加する必要がない完全培地なので、便利で簡単に使用できます
STEMCELL Technologies社が製造
STEMCELL Technologies社は、造血幹細胞コロニーアッセイ培地の標準化で広く知られてきた信頼性の高いサプライヤーです
cGMPのもとで製造
製造環境と工程がcGMP品質管理システムの下で厳密に管理された、より信頼性の高い製品としてお届けします(2017年より)
毒物・劇物非該当
2-メルカプトエタノール(毒物)、メタバナジン酸アンモニウム(劇物)不含です(2015年より全ロット対象)
mTeSR1による培養 データ紹介
※ いずれも、mTeSR1 - cGMP(製品コード:ST-85850)で培養したヒトES/iPS細胞のデータです。