ラーニングコーナー
2024/08/16
クロスマッチにおける細胞分離
- 細胞分離
- 移植・HLA・MHC
クロスマッチは臓器移植を行う際に、拒絶のリスクを判断するためにレシピエントがドナー特異的抗体(DSA)を持っているか否かを確認する検査です。クロスマッチにおいて、純度・バイアビリティ(生存率)の高い細胞を採取することは、正確なデータを出すために重要です。採取したリンパ球の純度やバイアビリティは検査者の経験に依存しますので、初心者でも簡単に分離ができる細胞分離に最適な試薬を使用することが重要です。
クロスマッチとは
クロスマッチ試験とは、臓器移植患者(レシピエント)の血清と臓器提供者(ドナー)の細胞を反応させ、レシピエント血清中のドナーHLAに対する抗HLA抗体(DSA)の有無を確認する検査で、臓器移植前に行います。
レシピエント血清中にドナー由来の抗HLA抗体が存在する場合は、移植後に超急性拒絶を引き起こす可能性があります。特にT細胞のクロスマッチ試験が陽性の場合、超急性拒絶の発生に強い相関があると言われています。
HLA抗原はClass IはT細胞及びB細胞の両方に発現していますが、Class IIはB細胞のみに発現しています。実施する検査によって、分離する細胞が異なります。
レシピエント血清中にドナー由来の抗HLA抗体が存在する場合は、移植後に超急性拒絶を引き起こす可能性があります。特にT細胞のクロスマッチ試験が陽性の場合、超急性拒絶の発生に強い相関があると言われています。
HLA抗原はClass IはT細胞及びB細胞の両方に発現していますが、Class IIはB細胞のみに発現しています。実施する検査によって、分離する細胞が異なります。
クロスマッチの種類
- リンパ球細胞障害試験
ダイレクトクロスマッチ、CDCクロスマッチ(Complement-Dependent Cytotoxicity Crossmatch)、LCT(Lymphocyte Cytotoxicity Test) 法など、様々な名称がありますが、全て同じ検査を指しています。ドナーリンパ球のT細胞とB細胞を分離して行います。
特徴は抗原‐抗体複合体に補体を添加し、補体を介した細胞障害の有無を蛍光顕微鏡下で判定します。判定は検査者の主観や熟練度などの影響を受けます。 - FCXM―Flow Cytometry Crossmatch
フローサイトクロスマッチと呼ばれ、フローサイトメーターを用います。CDCと比較すると感度が高いですが、非特異反応による偽陽性に注意する必要があります。 ドナーリンパ球はT細胞とB細胞を分離せずに全リンパ球を用いて行います。
クロスマッチのための細胞分離
細胞分離
CDCクロスマッチやFCXMにおいて、正しい結果を得るために純度が高い細胞を分離することはとても重要です。STEMCELL Technologies社のEasySep Direct は、クロスマッチのために開発された試薬で、世界で多く使用されています。
- CDCクロスマッチ用試薬:
・EasySep Direct HLA Crossmatch T Cell Isolation kit(全血100mL)
・EasySep Direct HLA Crossmatch B Cell Isolation kit(全血100mL) - FCXM用試薬:
・EasySep Direct Human Total Lymphocyte Isolation Kit (全血100mL)
特徴
- 免疫磁気ビーズによる分離操作のみで赤血球を99.9%以上除去
- 専用磁石を用いて短時間で簡便に細胞分離可能
- 新鮮全血を用いて最短20分で分離完了
- 比重遠心によるPBMCの回収は不要
- カラムを使用せず、ネガティブ分離のため、細胞への物理的ダメージは最小限
- 専用8連磁石を使用することにより、一度に多検体の処理が可能
ヒト全血からの細胞分離プロトコール
EasySep Directによるヒト全血からの細胞分離は、最短20分で完了します。
EasySep Direct Human Total Lymphocyte Isolation Kitを使用したケーススタディ
TB27033-Cell_Separation_Solutions_Flow_Cytometry_Crossmatch (stemcell.com)
EasySep Direct Human Total Lymphocyte Isolation Kitを用いてFCXMを行ったDr. Robert Liwski の文献を紹介します。Dr. LiwskiはASHIのProficiency Test Committeeのメンバーです。