ラーニングコーナー
2024/09/02
ルーチン検査における高品質PBMC分離のために
- 細胞分離
PBMC(末梢血単核球)分離は免疫検査・疾患診断など各種検査の前処理として重要なステップです。高品質かつ純度の良いPBMCを分離することで検査の品質向上が期待されます。
PBMC分離には様々な方法が用いられますが、ルーチン検査で利用する場合、簡単に短時間でかつ複数の検査者でも均一な品質で分離できる方法が求められます。
本ページでは検査室におけるPBMC分離に有用な商品についてご紹介します。
検査におけるPBMC分離
PBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells)は末梢血単核球のことで、T細胞やB細胞などのリンパ球、単球、樹状細胞などが含まれます。
PBMCには多種多様な免疫細胞を含むことから、フローサイトメトリーやELISAなどを使った免疫学的な検査に広く利用されています。
PBMCを使う検査の例
- フローサイトメトリーによるイムノフェノタイピング
- qPCRによる遺伝子検出や発現解析
- シングルセル解析
- サイトカイン測定 など
末梢血からPBMCを分離する細胞分離法には、比重遠心分離法、フローサイトメトリー、磁気細胞分離法などが広く用いられています。しかし目的の細胞を高い純度で分離するためには、検査者の技術や経験が必要となる場合があります。とくに複数の検査者が関わる検査室においては、経験によらず簡単に短時間でかつ均一な品質で分離できる方法が求められます。
STEMCELL Technologies社細胞分離試薬の利点
弊社がお勧めするSTEMCELL Technologies社の細胞分離試薬は検査室におけるPBMC分離に最適なアッセイです。
試薬には遠心機を使う「比重遠心法」と磁石を使う「免疫磁気分離法」との2種類がありますが、どちらの手法もカラムを使わない方法(カラムフリー)となります。
比重遠心法:SepMate
免疫磁気分離法:EasySep
カラムフリーの方法は
・細胞にやさしい
・操作が簡単
・操作時間が短い
・消耗品が少なくeco
など多くのメリットがあります。
その他にも様々な特長がありますので、ご希望に適した製品を選択ください。
こちらのページもご覧ください。
SepMate™によるPBMC分離
単核球の回収がデカンテーションだけの非常に簡便かつ短時間な操作で終了します。SepMate™には2種類のサイズがあり、SepMate™-50は4 - 17 mLの全血、SepMate™-15は0.5 - 5 mLの全血からの末梢血単核球の回収に利用できます。
SepMateの特長
- 比重液に血液を重層する操作が簡便
Lymphoprep™の液面を気にせず血液を重層可能 - 遠心時にブレーキOFFの必要なし
わずか10分、1200 x gの遠心でOK - 遠心後はデカンテーションだけで末梢血単核球(PBMC)を回収
ピペットで「注意深く回収する」操作は不要 - cGMP準拠製造品
滅菌済み、コンタミフリーで安心
こちらのページも参照ください。
全血からわずか15分でPBMCを調製「SepMate-50」・「SepMate-15」|注目の製品情報 | ベリタス (veritastk.co.jp)
PBMC調製の手順
SepMate™を用いてヒトPBMCを回収するプロトコールの概要です。
SepMate™に比重液Lymphoprepを添加。
ヒト全血(末梢血)を重層したのち、遠心1200 g, 10分で単核球を分離できます。
RosetteSepの併用で特定細胞の分離も可能です
免疫比重分離試薬 「RosetteSep™」とSepMate™を併用することで、細胞分離の作業ステップが減らせます。また、作業時間の節約、高い再現性、効果的かつハイスループットなサンプル処理を実現できます。
全血からのハイスループット細胞分離システム RosetteSep & SepMate|ラーニングコーナー | ベリタス (veritastk.co.jp)
無料サンプルでお試しください
全血からわずか15分でPBMCを調製「SepMate」サンプル無料提供中!! | ベリタス (veritastk.co.jp)
EasySep™によるPBMC分離
EasySepはカラムを使用せずにEasySep™マグネットを使って細胞を分離するアプリケーションです。
EasySepの特長
- 短時間、簡便
RapidSphereテクノロジーの採用で、全血から最短20分で分離完了 - カラム不要
細胞への物理的ダメージを最小限に抑えます - ネガティブ分離
PBMCは細胞表面に抗体が結合しない状態で分離 - 様々なダウンストリームアプリケーションに利用可能
フローサイト解析、細胞培養、DNA/RNA精製などに
PBMC分離に最適な試薬はこちら
EasySep Direct Human PBMC Isolation Kit(ST-19654)
新鮮な全血、バフィーコート、骨髄、臍帯血、または白血球除去製品から、末梢血単核細胞(PBMC)をネガティブセレクションで高純度に分離するために設計されています。
PBMC調製の手順
全血にEasySep抗体カクテルを加えインキュベーション後、EaseSep RapidSphereを添加しさらにインキュベーションします。インキュベーションした検体をマグネットにセットすると赤血球(RBC)、血小板、および不要な細胞はマグネットの方に吸着するため、上清にPBMCが分離できます。その後再度分離処理を行うことで、開始から最短20分でPBMC分離が完了します。
自動化装置RoboSepとの組み合わせも可能
細胞分離の自動化装置「RoboSep™-S」と組み合わせることで、PBMC分離をさらに効率よく簡便に実施できます。
1ランあたりのハンズオンタイムは約5分で、生体サンプルを扱う際に病原体にさらされるリスクを大幅に減らせます。
無料サンプルでお試しください
検査室における他の細胞分離例
PBMC分離以外にも、特定の細胞種を分離することで検査の精度や感度を向上することが可能です。
下記は前処理で細胞分離を用いている検査の例です。
造血幹細胞移植後の再発・生着不全の検出ー高感度・高精度キメリズム解析の有用性ー