STEMCELL Technologies STEMdiff STEMdiff Endothelial Differentiation Kit
- 研究用
STEMdiff™ Endothelial Differentiation Kit(ST-08005)は、ヒト多能性幹細胞(ES/iPS細胞、hPSC)由来の中胚葉細胞から内皮様細胞へ誘導する無血清培地のキットです。本キットには、動物成分を含まない (ACF) 組成の内皮誘導培地、接着基質、およびゼノフリー組成の内皮増殖培地が含まれています。
mTeSR™1(ST-85850)、mTeSR™ Plus(ST-05825)、またはTeSR™-E8™(ST-05990)においてCorning Matrigel 上で維持されているヒト多能性幹細胞から内皮様細胞への分化に最適化されています。
本キットは、STEMdiff Mesoderm Induction Medium(ST-05220, 別売)を用いて初期中胚葉を誘導した直後に使用するように設計されています。
キット構成品である内皮増殖培地は、STEMdiff™ Endothelial Expansion Medium Kit(ST-08007)として単品でも購入いただけます。
注:STEMdiff™ Endothelial Expansion Mediumの調製には、Heparin Solution (ST-07980) が別途必要になります。
製品の特長
*本品は、hPSCから内皮細胞を分化および増殖する培地です。内皮細胞の拡大培養のみの場合は、STEMdiff™ Endothelial Expansion Medium Kit(ST-08007)をご利用ください。
STEMdiff™ Endothelial Kitsをもちいて、hPSCから内皮細胞へ無血清条件下で分化誘導および増殖できます
- hPSC由来内皮細胞を効率よく作製できます
- 細胞濃縮やソーティングのステップは必要ありません
- FBS含有培地と比較して、hPSC由来内皮細胞の増殖が優れています
内皮誘導のワークフロー
ヒト胚性幹(ES)または人工多能性幹(iPS)細胞は、TeSR™維持培地(mTeSR™ Plus、mTeSR™1、またはTeSR™-E8™)で培養します (フェーズ1)。分化プロトコルの1日目(フェーズ2)に、TeSR™培地をSTEMdiff™ Mesodermal Induction Medium(MIM)に置き換えることにより、初期中胚葉前駆細胞への誘導準備が整います。3日目(フェーズ3)までに、MIMをSTEMdiff™ Endothelial Induction Mediumに交換して内皮細胞を誘導します。7日目(フェーズ4)に、Animal Component-Free Cell Attachment Substrateでプレコートされた培養容器に、STEMdiff™ Endothelial Expansion Mediumをもちいて細胞を5〜6倍に継代します。
データ紹介
hPSC由来内皮細胞における内皮マーカー発現
STEMdiff™ Endothelial Induction Mediumで7日間誘導したヒト多能性幹細胞(hPSC; H9細胞株)由来の内皮細胞をフローサイトメトリーで分析しました。細胞の85%以上がCD34+であり、高レベルのCD31およびCD144を発現しました。その後の継代で、内皮マーカー(CD34、CD31、CD144)を発現する細胞の割合は、5継代目まで増加し続けました。
機能性をそなえたhPSC由来内皮細胞
STEMdiff™ Endothelial Differentiation Kitを使用してhPSC(F016細胞株)から作製した内皮細胞は、10,000細胞/cm2にて播種すると、アセチル化LDLを取り込むようになります。また、96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで24時間播種すると、チューブ形成アッセイにてin vitroの管状ネットワークを形成するようになります。
血清含有培地より速い内皮細胞の増殖
STEMdiff™ Endothelial Expansion Mediumは血清含有培地と比較した場合、(A) 後期の継代で拡大率を維持し、(B) hPSC(C1細胞株)由来内皮細胞の優れた拡大をもたらします。
hPSC由来内皮細胞における、高レベルのACE2発現
(A)STEMdiff™ Endothelial Differentiation Kitを用いてhPSC(C1細胞株)由来内皮細胞を作製し、STEMdiff™ Endothelial Expansion Mediumを用いて10,000細胞/cm2で6回継代し拡大培養しました。(B)これらの細胞のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発現を分析したところ、85%が高レベルのACE2を発現していました。