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ラーニングコーナー

2020/06/16

間葉系幹細胞(MSC)の分離・培養・分化 【E-Learning】

  • 細胞分離
  • 用途別細胞培養

間葉系間質細胞(MSC;間葉系幹細胞、または医療用シグナル伝達細胞としても知られる)は、インビトロでの自己複製能、および骨・脂肪・軟骨形成の3系列への分化能が知られており、骨髄(BM)、臍帯(UC)、脂肪組織、および歯髄を含むいくつかの組織から単離することができます。
MSCは、細胞生物学における我々の知識をさらに深め、細胞治療薬としての潜在的な用途についても研究されており、近年では400を超えるさまざまな疾患の治療の臨床試験においてMSCが使用されています。現在、心臓病、糖尿病、癌、骨/軟骨、神経および免疫関連の障害などの疾患においてフェーズI / IIが実施されています

MSCは以下の特性を持ち細胞保護を付与できることから、細胞培養の魅力的な候補です。
1)培養による単離および増殖が容易である
2)炎症部位に戻ることができる
3)複数の中胚葉細胞型に分化することができる
4)免疫調節性をもつ
5)免疫原性が低い
6)広範囲のサイトカインおよび成長因子を分泌する

本稿では、MSCの分離・培養・分化についての知識やアプリケーションなどをご紹介します!

間葉系幹細胞(MSC)の分離

マウス緻密骨からのMSC分離

マウスMSCは、骨髄よりも緻密骨(compact bone)で高頻度に生じることが報告されています。
このビデオでは、マウスの緻密骨からMSCを分離する手順を説明します。

MSCの分離と調製に役立つ製品

マウス緻密骨からのMSC分離(カラム不使用、ネガティブ分離)
EasySep Mouse Mesenchymal Stem/Progenitor Cell Enrichment Kit(ST-19771)

ヒト骨髄からのMSC分離(カラム・磁石不使用、ネガティブ分離)
RosetteSep Human Mesenchymal Stem Cell Enrichment Cocktail(ST-15128, ST-15168)

ヒト骨髄からのMSC分離(カラム不使用、ポジティブ分離)
EasySep Human CD271 Positive Kit II(ST-17849)

ヒトMSCの供給源(ヒトプライマリーセル)
STEMCELL Technologies社 ヒト正常および疾患血液細胞/プライマリーセル

間葉系幹細胞(MSC)の培養

細胞培養のための低酸素環境

幹細胞の再生特性に関する知識を広げるため、in vitroにおいても生理学的条件を再現することが重要視されています。再現可能な生理学的状態の1つに、組織で見られる低酸素状態があります。
低酸素圧による培養への影響は、動物種や組織の由来に依存します。例えば、ヒトMSCにおいては、低酸素圧状態は表現型に影響せず、増殖動態と代謝には影響を与えることが報告されています。一方で、マウスMSCにおいては、低酸素圧状態が細胞表面マーカーの発現速度および増殖能力の両方に影響を及ぼすことが示されています。これらの知見は、生体内における生理学的条件を模倣することが重要であることを示しています。

低酸素環境を簡単に作る方法とは?
インキュベーター内に設置するだけで低酸素条件を再現できるHypoxia Chamber(ST-27310)がおすすめです。このビデオでは、チャンバーを組み立ててパージする方法と、作り出される低酸素環境の評価方法をご紹介します。
【訂正】3分50秒で「〜20 psi」となっておりますが、正しくは、流量計を使用してレギュレーターバルブ制御を20 L/minに調整する必要がございます。

初代マウスMSCを誘導および拡大する際のポイント

マウス間葉系幹細胞および前駆細胞(MSC)を分離および増殖させる際、一般的に問題となるのが造血細胞の混入です。MSCと造血細胞はどちらもプラスチック接着性であり、コロニーを形成します。ただし、サイズと外観で区別できます。位相差光学顕微鏡下で、MSCは造血細胞よりも大きく、平らで、屈折が少ない線維芽細胞のような細胞として観察されます。従来の培地で培養する場合、造血細胞集団を減らしてマウスMSC集団を濃縮するには、複数回の継代が必要になる場合があります。継代を繰り返すたびに、マウスMSCの老化と機能の低下につながる可能性があります。
一方、MesenCult Expansion Kit (Mouse)(ST-05513) による培養では継代0回からMSCを効率よく濃縮可能なため、上記の問題を回避できます。

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ヒト臍帯由来MSCの体外培養による分離

ヒト臍帯由来の間葉系間質細胞/mesenchymal stromal cells(UC-MSCs)を分離・培養するためのプロトコールを動画でご紹介します。MesenCult™-ACF Plus Umbilical Cord Culture Kit(ST-100-0234) を使用しています。

MSCからの骨形成分化時に細胞剥離を防ぐ方法

MSCの特徴の一つである骨形成分化を確認するのに最適な培地として、ヒト用のMesenCult™ Osteogenic Differentiation Kit(ST-05465)と、マウス用のMesenCult™ Osteogenic Stimulatory Kit(ST-05504)がございます。

MSCの骨形成分化を開始するには、細胞が約95〜98%コンフルエントになるまでMSCを培養する必要があります。時おり、分化が強すぎると過剰なコンフルエンシー培養のなかで骨ミネラルが大量に沈着し、細胞が収縮して培養器具から剥がれ始めることがあります。この問題を克服するのに役立つヒントをご紹介します。

msc-header.jpg

多能性幹細胞からの間葉系幹細胞(MSC)誘導

間葉系幹細胞(MSC)は数が極めて少なく、骨髄細胞100,000個中1個という推定頻度でしか存在しません。そのため、MSC研究に十分な細胞量を得るためには、in vitro において高効率かつ高純度な増殖が必要です。MesenCultの増殖培地は、そのような条件を満たした性能を備えています。

組織からMSCを分離する以外では、多能性幹細胞から誘導したMSCを用いるアプローチが選択できます。
この目的に最適なSTEMdiff™ Mesenchymal Progenitor Kit(ST-05240)をもちいると、ヒト多能性幹細胞(hPSC)から21日間で間葉系前駆細胞(MPC)様の細胞を誘導し、拡大培養することができます。下図は培養ワークフローを示しています。

MesenCult Sch2.png

間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソーム

ヒトMSC由来エクソソームの生成

間葉系幹細胞(MSC)をMesenCult™-ACF Plus Medium(ST-05445, 05448)をもちいてEVフリー培養し、細胞外小胞(EV)を生成するプロトコルをご紹介します。MesenCult™-ACF Plusは動物性成分やEVを含まず、骨髄や脂肪組織など複数のソースからのヒトMSC誘導に最適化されており、生成されるEVの完全な機能性が内皮管形成アッセイで示されています。

ウェスタンブロッティングによるエクソソームの特徴づけ

分離されたEVは、特定のタンパク質マーカーを検出するための一般的な手法である、ウエスタンブロッティングまたはイムノブロッティングによって特徴付けることができます。CD9、CD63、CD8などのテトラスパニンマーカーは、さまざまな細胞タイプのEVに共通するタンパク質です。このような特徴的なEV関連タンパク質を検出するためのウエスタンブロットを行い、生物サンプル中のEVの存在を確認するためのプロトコルをご紹介します。

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間葉系幹細胞(MSC)の機能と役割

「間葉系幹細胞」のin vivoにおける秘密

間葉系幹細胞(MSC)、間葉系前駆細胞、および線維芽細胞はよく研究されていますが、細胞型は十分に定義されていません。
このオンデマンドウェビナーでは、恒常性と組織再生におけるMSCの生体内生理機能の研究について学べます。Fabio Rossi博士が、MSCの特性、および筋肉と心臓の修復と再生におけるMSCの役割について説明しています。
(視聴にはSTEMCELL Technologies社ホームページへのログインが必要です。)

MethCult8.png

骨髄骨格前駆細胞と骨疾患

このオンデマンドウェビナーでは、Sapienza大学のMara Riminucci博士が、線維性異形成などの骨格障害における骨髄骨格前駆細胞(間葉系間質細胞またはMSCのサブセット)の役割について説明します。
(視聴にはSTEMCELL Technologies社ホームページへのログインが必要です。)

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間葉系幹細胞培地「MesenCult」のご紹介

MSC研究を標準化

間葉系幹細胞の分離、培養、保存、分化までをトータルサポートするMesenCultを用いることで、MSCに関わる研究を標準化する(実験条件を一定にし、実験間のばらつきを最小にする)ことが可能になります。このビデオでMesenCult製品シリーズの概要をご覧ください。

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