注目の製品情報
2023/07/06
中枢神経系分化の起点に ヒトiPSC由来神経前駆細胞
- 用途別細胞培養
- 細胞・生体試料
STEMCELL Technologies社の高品質なヒトiPS細胞 (iPSC) 株から作製された、神経前駆細胞 (NPC) の供給を開始しました:
Human iPSC-Derived Neural Progenitor Cell(商品コード: ST-200-0620)
このiPSC由来NPCは、ヒト中枢神経系 (CNS) 分化の研究ワークフローにおいて、より少ないコストでより多くの目的細胞を得るために有効なツールとなります。
注意:この製品は「研究用」です。記載がない限り、ヒトまたは動物の診断または治療目的での使用を意図したものではありません。
コストパフォーマンスの高い神経前駆細胞(NPC)
iPSC由来 神経前駆細胞(NPC)の特長
- 詳細に特性解析されたControl iPSC由来の、高品質なNPCです
- 融解後、すぐに増殖できます
- iPSC培養と神経誘導が不要で、分化ワークフローの時間を短縮できます *
- 前脳ニューロンやアストロサイトに分化できます
- 同じ遺伝的背景をもつニューロンとアストロサイトを共培養できます
* iPSC凍結バイアルからシングルセル懸濁液の作製に必要な約3週間、および神経誘導に必要な約3週間を節約することができます。さらに、iPSCの長期培養中に遺伝子変異が入るリスクも回避できます。
iPSC由来 神経前駆細胞(NPC)からの神経分化
iPSC由来NPCは、ヒト中枢神経系分化の研究ワークフローに便利な中間体として導入でき、拡大培養および凍結保存することもできます。NPCの使用によって、より少ないコストでより多くの目的細胞(アストロサイト、ニューロン)を得られるようになり、研究を柔軟に進めることができます。
NPCの形態とマーカー発現
神経前駆細胞(NPC)に特徴的で高品質な細胞形態
神経前駆細胞(NPC)に特徴的なマーカー発現
NPCの増殖と凍結保存
継代培養による神経前駆細胞(NPC)の増殖
融解後の日数 | 継代数 | NPC収量 (×106個) |
約 7 日 | P1 | 2-3 |
約 14 日 | P2 | 約 9 |
約 21 日 | P3 | 約 27 |
約 28 日 | P4 | 約 81 |
約 35 日 | P5 | 約 240 |
iPSC由来NPCを融解し、STEMdiff™ Neural Progenitor Medium (ST-05833) により37℃で培養しました。約7日ごとに継代し、計5週間維持しました。
NPCの平均増加倍率は継代当たり2.8 ± 0.5倍 (平均 ± SEM) で、効果的に増殖できることが示されました。
下流の神経分化のために推奨されるNPCの継代数は最大5回です。少なくともP5まで、細胞はPAX6、SOX1、Nestinの発現 (>80%) を維持します。
神経前駆細胞(NPC)の凍結保存
増殖させたNPCは、再凍結してバンク化することが可能です。下流のアッセイで最高のパフォーマンスを得るために、初期の継代数 (2–3回程度) での再凍結が推奨されます。凍結保存培地には STEMdiff™ Neural Progenitor Freezing Medium (ST-05838) を使用し、クライオバイアルあたり生細胞数1.5–6.0×106個で保存できます。
NPCからニューロン・アストロサイトへの分化
分化誘導の流れと使用培地
STEMdiff™ Neural Progenitor Medium (NPM) で増殖させたiPSC由来NPCから、中枢神経系細胞に分化誘導できます。
NPCからアストロサイト、前脳ニューロン、中脳ニューロンへ分化・成熟させるには、それぞれSTEMdiff™ Astrocyte、STEMdiff™ Forebrain Neuron、STEMdiff™ Midbrain Neuronの分化・成熟用培地が適しています。
その他のカスタマイズした中枢神経系分化を行うには、BrainPhys™ hPSC Neuron Kit (ST-05795) の使用をおすすめします。
このキットには、中枢神経系細胞外環境を再現した組成でシナプス活性ニューロンの割合を増やす働きのある神経基礎培地「BrainPhys™」とサプリメント類が含まれています。
データ紹介
アストロサイトへの効率的な分化
前脳ニューロンへの効率的な分化
中脳ニューロンへの効率的な分化
NPC由来ニューロン・アストロサイトの共培養
共培養への流れと使用培地
iPSC由来NPCから前脳ニューロンとアストロサイトをSTEMdiff™キットでそれぞれ分化・成熟させた後、共培養することができます。
これにより、遺伝的背景を同じくする共培養系を確立し、神経疾患などに関わる細胞間相互作用をin vitroでモデル化できるようになります。