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ラーニングコーナー

2024/05/20

神経研究向け注目の培地 ー 組織・細胞別

  • 用途別細胞培養

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神経研究のための細胞培養に役立つ、STEMCELL Technologies 社のおすすめの無血清培地をご紹介します。
なお、掲載した情報は一部です。さらに詳しく知りたい方は冊子「神経研究のための培養ガイドブック」もご参照ください:
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ヒト多能性幹細胞(human pluripotent stem cell;hPSC)から領域特異的な脳オルガノイド、または運動ニューロン、神経前駆細胞、ミクログリアの各細胞に分化させるSTEMdiff™培地や、神経の分化と成熟に適したBrainPhys™培地の特長をご覧ください。

領域特異的な脳オルガノイド

STEMdiff™培地でヒト多能性幹細胞から領域特異的な脳オルガノイドを作製

ヒト多能性幹細胞(hPSC)から特定の脳領域へガイド分化し、脳領域特異的なオルガノイドを作製する方法が報告されています。
Sergiu P Paşca 博士らのプロトコル* に基づき開発された無血清のSTEMdiff™培地を用いて、前脳または中脳の組織にパターニングしたオルガノイドを作製できます。
* 前脳 - Paşca S, et al.(2017)Nature 545(7652): 54-59、中脳 - Yoon SJ, et al. (2018) Nature Methods 16: 75–8.

hPSC由来の領域特異的な脳オルガノイドは、以下のアプリケーションに使用できます。

  • 前脳オルガノイドによる、神経毒性・神経変性の3 次元モデル化
  • 中脳オルガノイドによる、ドーパミン中枢・パーキンソン病の3 次元モデル化
  • 脳アセンブロイド(AssemBloid™)# の構築による、細胞間または脳領域間の相互作用モデル化

    # アセンブロイド:オルガノイドと他の細胞または異なる複数のオルガノイドの共培養系

製品紹介

製品名(商品コード) 特長 培養の流れ(画像のクリックで拡大表示)

STEMdiff™ Dorsal Forebrain Organoid Differentiation Kit
ST-08620

hPSCから背側前脳(背側新皮質、背側外套)オルガノイドを樹立

  • パターン化: 著名な方法に基づき、低分子のパターン化因子で分化誘導
  • 再現性: 細胞株間/ 内で均質なオルガノイドが得られ、軽微な疾患表現型を検出可能
  • 大量培養: AggreWell™ 800 プレート(*)との併用で500 個/ キットのオルガノイドを作製
  • マトリックスフリー: オルガノイドの埋め込み作業が不要で手間を省け、融合も防止


(*)底面に800 μm サイズのマイクロウェルが刻まれたマルチウェルプレート(商品コード:ST-34811 など)

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データなど詳細を見る

STEMdiff™ Ventral Forebrain Organoid Differentiation Kit
ST-08630

hPSCから腹側前脳(腹側終脳、腹側外套下部)オルガノイドを樹立

STEMdiff™ Midbrain Organoid Differentiation Kit
ST-100-1096

hPSCから中脳オルガノイドを樹立

運動ニューロン

STEMdiff™培地でヒト多能性幹細胞から運動ニューロンを作製

ヒト多能性幹細胞(hPSC)から分化誘導した運動ニューロンは、神経変性や神経筋疾患のin vitro モデルに有用です。
Yves Maury 博士らのプロトコル* に基づき開発された無血清のSTEMdiff™培地を用いて、hPSC から機能性の運動ニューロンへ効率良く分化誘導できます。得られる運動ニューロンは中枢神経系の脊髄運動ニューロン(下位運動ニューロン)に該当し、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)などの特徴的なマーカーを発現します。
* Maury Y, et al. (2015) Nat Biotechnol. 33(1):89-96.

hPSC由来の運動ニューロンは、以下のアプリケーションに使用できます。

  • 運動ニューロン疾患モデル
  • 神経毒性評価
  • ミクログリアとの共培養による、運動ニューロン疾患の神経炎症モデル
  • 筋管との共培養による、神経筋接合部モデル
  • 微小電極アレイ(microelectrode array;MEA)による神経活性測定

製品紹介

製品名(商品コード) 特長 培養の流れ(画像のクリックで拡大表示)

STEMdiff™ Motor Neuron Differentiation Kit
ST-100-0871

hPSCから14 日間で運動ニューロンを作製

  • 迅速: ヒト多能性幹細胞(hPSC)から運動ニューロンをわずか14 日で作製
  • 高効率: 高純度な運動ニューロンの集団(>60% HB9+)を獲得
  • 生理的: 成熟段階にBrainPhys™培地(*)を組み合わせて、生理的に適切な結果を獲得
  • 適合性: 共培養によるin vitro モデルの作製に適合


(*)神経培養用の基礎培地で、神経細胞の活動と成熟をサポートします(後述の「BrainPhys™」を参照)。BrainPhys™培地はSTEMdiff™ Motor Neuron Maturation Kit に含まれています。

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STEMdiff™ Motor Neuron Maturation Kit
ST-100-0872

STEMdiff™ Motor Neuron Differentiation Kit で作製した運動ニューロンを14 日間で成熟

神経前駆細胞

STEMdiff™培地でヒト多能性幹細胞から神経前駆細胞を作製

ヒト多能性幹細胞(hPSC)から神経誘導して得られる神経前駆細胞(neural progenitor cell;NPC)は、多様な神経細胞のタイプに分化する起点として、in vitro での中枢神経系の研究に広く役立ちます。
無血清のSTEMdiff™ SMADi Neural Induction Kit を用いて、hPSC から高純度な神経前駆細胞を作製できます。本品には、Stuart M Chambers 博士らのプロトコル* に基づくTGF- β /BMP 依存性のSMAD シグナル阻害剤(培地サプリメント)が含まれており、必要に応じて培地に添加することで、分化が困難な細胞株も効率的に神経誘導できます。さらに、神経前駆細胞は同じSTEMdiff™シリーズの無血清培地類で増殖させたり、ニューロンやアストロサイトへ分化させることができます。
* Chambers SM, et al. (2009) Nat Biotechnol. 27(3):275-80.

hPSC由来の神経前駆細胞は、以下のアプリケーションに使用できます。また、iPS細胞からすでに神経誘導済みの凍結した神経前駆細胞も販売しております。

  • ニューロン、アストロサイトへの分化
  • 共培養(2次元、3次元)
  • 神経発生・神経疾患モデル
  • 薬剤スクリーニング
  • 毒性試験

製品紹介

製品名(商品コード) 特長 培養の流れなど(画像のクリックで拡大表示)

STEMdiff™ SMADi Neural Induction Kit
ST-08581, ST-08582

hPSCから神経前駆細胞を作製

  • 発生過程を模倣: 低分子でin vivo の発生段階を模倣、外部遺伝子は導入不要
  • 多目的: SMAD シグナル阻害の有無、培養方法(胚様体、単層)を選択可能
  • 合理的: 分化能を維持したまま神経前駆細胞を増殖培養できるため時間と労力を節約、しかも凍結保存可能
  • 適合性: STEMCELL Technologies 社のヒト多能性幹細胞(hPSC)用維持培地(*)で培養した細胞からスムーズに移行


(*)mTeSR™1、mTeSR™ Plus またはTeSR™-E8™

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Human iPSC-Derived Neural Progenitor Cell
ST-200-0620, ST-200-0621

STEMdiff™ SMADi Neural Induction Kit で作製、凍結したiPS細胞由来の神経前駆細胞

  • 時短: iPS細胞培養と神経誘導を省略でき、分化ワークフローの時間を短縮(*)
  • 適合性: STEMdiff™シリーズの分化培地に適合および性能評価済み
  • 高品質: コントロール iPS細胞株由来の神経前駆細胞で、ニューロンやアストロサイトに効率よく分化可能


(*)凍結iPS細胞からシングルセル懸濁液の調製まで、および神経誘導にそれぞれ必要な約3週間ずつを節約できます。さらに、iPS細胞の長期培養中に遺伝子変異が入るリスクも回避できます。

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データなど詳細を見る

ミクログリア

STEMdiff™培地でヒト多能性幹細胞からミクログリアを作製

ヒト多能性幹細胞(hPSC)から分化誘導したミクログリアは、神経変性や神経炎症のin vitro モデルの構築に役立ちます。
Edsel M. Abud 博士らのプロトコル* に基づいて開発された無血清のSTEMdiff™ Microglia Kitsを用いて、hPSC 由来の造血前駆細胞(hematopoietic progenitor cell)から機能性をもつミクログリアへ効率良く分化誘導できます。
* Abud EM, et al. (2017) Neuron. 94(2):278-293.e9.

hPSC由来のミクログリアは、以下のアプリケーションに使用できます。

  • 貪食モデル
  • 炎症性サイトカインの放出モデル
  • 毒性試験
  • 神経オルガノイドとの共培養による、神経炎症モデル
  • 運動ニューロン、神経細胞との共培養による、運動ニューロン疾患の神経炎症モデル

製品紹介

製品名(商品コード) 特長 培養の流れ(画像のクリックで拡大表示)

STEMdiff™ Hematopoietic Kit
ST-05310

hPSCから12 日間で造血前駆細胞を作製

  • 効率的: 造血前駆細胞の80% 以上がミクログリアに分化し、マクロファージや単球の混入を抑止
  • 最適化: STEMdiff™ Hematopoietic Kit で作製した造血前駆細胞からの分化に最適
  • 機能性: 貪食と活性化の機能を持つミクログリアを作製
  • 便利: 神経細胞との共培養プロトコルを提供可能
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STEMdiff™ Microglia Differentiation Kit
ST-100-0019

hPSC由来 造血前駆細胞から24 日間でミクログリア前駆細胞を作製

STEMdiff™ Microglia Maturation Kit
ST-100-0020

STEMdiff™ Microglia Differentiation Kit で作製したミクログリア前駆細胞を機能性のミクログリアに成熟

BrainPhys™

神経の分化と成熟に適した培地

BrainPhys™は、神経培養用の無血清な基礎培地です。従来の神経培養の課題を克服すべく開発された培地の組成(Bardy C, et al. (2015) Proc Natl Acad Sci USA. 112(20):E2725-34.)に基づいており、in vitro におけるニューロンの生存だけでなくシナプス活性を含む神経機能をより良くサポートします。

特長

  • 生理的: 脳の生理的な細胞外環境を再現した培地組成
  • 活性: 神経機能を改善し、シナプス活性の高いニューロンの比率を上昇
  • 合理的: ニューロンの培養と機能解析の両方に使用可能
  • 多目的: 初代ニューロンおよびヒト多能性幹細胞(hPSC)由来ニューロンの長期培養を実現
  • 信頼性: 厳密な原料スクリーニングと品質管理により、製品のロット間差を最小限にコントロール
  • 汎用的: 目的に合わせてサプリメントとのセット品や、フェノールレッドフリーの培地を選択可能

従来の培地とBrainPhys™の基本性能比較
(画像のクリックで拡大表示)

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アプリケーション

  • マウス・ラット由来初代ニューロンの培養
  • ヒト多能性幹細胞(hPSC)由来ニューロンの分化と成熟
  • 微小電極アレイ(MEA)による神経活動の記録
  • 蛍光による生細胞イメージング(カルシウムイメージング、光遺伝学)
  • 体細胞からニューロンへの分化転換 (Bardy C, et al. (2015) Proc Natl Acad Sci USA. 12(20):E2725-34.
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MEA上で、従来の培地とBrainPhys™で培養したhPSC由来ニューロンの電気活動比較
(画像のクリックで拡大表示)

製品紹介

製品名(商品コード) 特長 培養の流れなど(画像のクリックで拡大表示)

BrainPhys™ hPSC Neuron Kit
ST-05795

ヒト多能性幹細胞(hPSC)由来ニューロンの分化と成熟

BrainPhys™とサプリメント(N2-A、SM1§)、神経栄養因子(Glial cell line-derived neurotrophic factor;GDNF、Brain-derived neurotrophic factor;BDNF)を含むセット品

(*) N2 Supplement-A: hPSC の神経分化用サプリメント(単品の商品コード:ST-07152
(§) NeuroCult™ SM1 Neuronal Supplement: B27 の組成を基に、ニューロンの長期培養と成熟に最適化された無血清サプリメント(単品の商品コード:ST-05711

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データなど詳細を見る

BrainPhys™ Imaging Optimized Medium
ST-05796

イメージングの用途に最適化されたBrainPhys™培地

  • 長時間のライブイメージングでも光毒性の影響なし
  • 488 nm 励起チャネルにおける自家蛍光バックグラウンドを低減
  • in vitro でのライブカルシウムイメージングをサポート
  • オルガノイドにおける神経イメージングにも使用可能
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